融点をハイポで測定


融点の実験は,素材が命

 以前は,融点を測定する実験をパラジクロロベンゼンでおこなっていました。(20世紀)

しかし,パラジクロロベンゼンは発がん性など有毒という理由から,使われなくなり,

現在は「パルミチン酸」という物質を使うことになっています。(パルミチン酸は,ろうそく等に含まれる脂肪酸)

 しかしながら,この物質は,親油性で実験が終わった後の処理が大変です。

流しに流したら即座に固まり,流しのつまりの原因になります。
また,パルミチン酸の融点は63℃付近であり,室温から加熱していくとそれなりの時間がかかります・・・。

 

 そこで,親水性の物質で有毒ではなく融点が50度近辺の物質を探したところ,

金魚の水のカルキ抜きに用いる

 

     「チオ硫酸ナトリウム」

 

がありました。

(本WebSiteでは深成岩と火山岩のモデルの作成にも使っています。)
チオ硫酸ナトリウムは化学式Na2S2O3・5H2Oであり,融点は48.3℃です。
(一般にカルキ抜きとして市販されているのは五水和物です。業者などに頼むと無水物が届けられる場合がありますので注意してください)

 

実験装置などは,これまでに使われていたもので十分です。

  

    装置全体         固体と液体が混じった状態 (拡大できます)

 

固体と液体が混じった状態のときに,実際に温度をはかると

 

 

48.3℃付近で温度が一定になりました。

ハイポは融点が48℃だそうなので,測定としてもOKです。

実験が終わった後は,水にとけますし,金魚の水にも使える物質であり,害が少ないので,水洗いでOKです。

お湯洗いならば完全にきれいになります。


その他

・パルミチン酸の方が優れている点があります。それは,温度を下げるときのグラフを書くような発展学習をするときです。
・チオ硫酸ナトリウムは「過冷却」を起こしやすい物質で,ゆっくり温度を下げていくと融点より温度が下がっても液体の状態を保ちます。
・逆に考えれば,チオ硫酸ナトリウムは融点の実験以外では,「過冷却」の実験に使えると言うことになります。


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