[ とっぷ ]  [ 最新 ] [ GAME ] [ BOOK ] [ 前月 ] [ 次月 ]

好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!! −2002年6月に読んだ本



角川春樹事務所 ハルキ文庫
詩人の夢 /松村栄子

この前読んだ『紫の砂漠』の続編。や、綺麗にまとまってたので、続編あるとは思わなかった。
……で、続きをやるとしたら、これしかないだろうけど、やぱし、蛇足という感は拭えないなぁ。

前巻同様、地味な文章、起伏の乏しい展開、生々しさを避けた描写。多分に意図的なのだろうけど、やっぱり、ストーリーを追って楽しむものではないな。じゃあ、それ以外の部分、といっても、それは、前巻で語られてしまっているので、どうにも、いまいち。まあ、ラストはすごく綺麗なのだけど。

それにしても、ヘタレな主人公、何とかして下さい(^^;。や、永遠の少年、くすぐる母性本能、という感じなのだろうけど、ちょっとなー。まあ、もともと、作者の乙女回路によって綴られた作品で、ある意味、少女小説以上に、男性お断りなので、仕方ない部分ではあるのだろうけど。

参考:既刊の感想 → 紫の砂漠


集英社 コバルト文庫
GLASS HEART 熱の城 /若木未生

若木未生では、いちばん好きなシリーズ。でも、最近の若木作品のクオリティの低下は、ちと著しいかも。

若木の芸風って、もともと、登場人物も必死だけど、作者というか文章も、必死っぽいトコだと思ってたのだけど、最近、むしろ小手先だよね。『グラスハート』のキャラ同士のズレた会話も、以前は、1言 1言、きちんと練っていたハズなのに、いつのまにか、表面的な雰囲気でごまかそうとしてるし。……ダメじゃん。

っていうか、『グラスハート』って、ざくざく鋭いような、危ういところが良かったのだけど、これじゃ、ただの青い青春ドラマじゃないですか。言葉にしなくても、わかってたことを、わざわざ、ラストで言葉にしますか。そういう方向に、持っていきますか。やぱし、新マネージャー参入辺りから、路線変更狙ってます、というのはあったけど、『グラスハート』では、直球でそゆとこ攻めないと思ったので、うーむ。

参考:既刊の感想 → GLASS HEART


メディアワークス 電撃文庫
ポストガール /増子二郎

電撃の連作短編は、どれも『キノの旅』ちっくになるのは、気のせいですか(^^;。

大戦で荒廃した世界で、人々に手紙を届けるロボットの話。人々と触れあう度、だんだんと人間らしい心を手に入れていくという、心温まる系のありがちな話で、ありがちな話だけに、出来は悪くないけれど、小さくまとまっちゃってる予感。もうちょっと、なにかアクセントとなるものがあれば良いのだけれどもねぇ。<ここら辺、『キノの旅』が良いのは、あの“毒”がいいアクセントになってるから、だと思うのだけど。


メディアワークス 電撃文庫
ダーク・バイオレッツ /三上 延

幽霊を見ることの出来る「紫の目」を持つ少年が、その手の事件に巻き込まれて、少女と出逢い、ともに解決する、というありがちな話。

基本に沿った展開のわりには、イベントの繋がりが、いまいち悪いのが気になるけれど、まあ、おせっかいな従姉妹で幼なじみとか、美人で影のあるヒロインとか、押さえるべきは押さえてて、十分おもしろかったし、今後に期待(^^;。


メディアワークス 電撃文庫
悪魔のミカタ(3) パーフェクトワールド・平日編 /うえお久光

やっぱり、嫌い。でも、くそぅ、おもしろいんだよ、こんちきしょ〜〜。……2巻は、「にゃん」にやられてしまったけど、でも、この独特なセンス、やっぱ、嫌いだわ。でも、読んでて、描写とか、ぞくぞくだよね。あと、ウィークポイントだったミステリー風味を払拭したのは、正義。はじめから、こういう方向性を堅持しとけば、良いものを。

それにしても、これだけ、女の子を出しまくって、ハーレム状態なのに、基本的に「萌え」を感じさせないというか、まるでそういう要素を勘違いしてるとしか思えないズレた描写に終始してるのは凄いな。まあ、そこら辺も、この作者の独特のセンスなんだけど。

参考:既刊の感想 → 悪魔のミカタ


早川書房 ハヤカワ文庫JA
ムジカ・マキーナ /高野史緒

特に、第二楽章に入って、話が見えるようになってからが、めちゃおもしろかった。……というか、うぅ、俺の音楽&歴史に関する知識のなんと貧弱なことか(T-T)。<だから、最初の辺りは、さっぱり話がわからなかったりして(^^;。

19世紀末の西欧を舞台にした、麻薬と音楽を巡る「音楽SF」。や、巻末の解説によると、“近代史のなかでもいちばんおもしろい時代に設定”とあるけれど、あの辺りって、フランス革命と産業革命のせいでめちゃくちゃな時代、という程度の知識しかないので、ははは〜〜っ。どうせ、高校時代は、地理選択ですよ、えぇ。……うぅ、教養なさすぎ(T-T)。

と、第二楽章に入ってからは、そういう知識なくても大丈夫で、凄くおもしろかった。ちと、無理に恋愛風味に纏めちゃってるので、そこは、ちょっと不満なんだけど(^^;。謎を、だんだんに明かしていく魅せ方が、もう、絶妙だよねぇ。や、素晴らしい〜〜。


株式会社ケイエスエス KSS NOVELS
秋桜の空に 〜奈々坂の門〜 /竹井10日

すでに各地で大絶賛ですが<そうか、や、ほんと、素晴らしい〜〜。……でも、恥ずかしいので、出来ればこーゆー挿絵は無くしていただきたかった(T-T)。<や、基本的に、電車の中でしか本は読まないので(^^;。

とにかく、ゲームの後日談なオリジナルストーリーです。ゲームの悪い部分をきちんと補完してます。というか、ゲームの良い部分がそのまま濃縮されて詰まってます。ゲームのノベライズとしては、これ以上ない出来っ!! ほんと、とにかく、素晴らしい〜〜っ!!

いや、最近、私が読んだ小説の中では、ダントツにおもしろいと思うのだけど、[WIN]『秋桜』を遊んでない人が読んだら、どういう感想になるんだろ?やぱし、駄作に映るのかなぁ。や、ゲームのテキストそのままで、小説として、こーゆーのって、いいのか?という気もするし。でも、こーゆー内容のおもしろさが理解できなかったら、なんだか、人生、大損じゃないですか?っていうか、竹井10日素晴らしい。素晴らしすぎる〜〜。


新潮社 新潮文庫
屍鬼 /小野不由美

途中から、むちゃくちゃおもしろくなって、一気にラストまで読んでしまったり。でも、これ、ホラー?

いや、先の展開を、予め予想させておいて、あとは、とにかく焦らすような構成をとっていたり、そもそも、いかにもそれっぽいストーリーなっていたりして、そういう部分は、もしかしたら、ホラーの文法なのかもしれないけど、それにしても、ぜんぜん怖くないんですけど(^^;。……まあ、ぜんぜん、ホラーは読まない人なので、そこら辺の感覚がずれまくってるのかしらん?

と、それはともかく、やぱし、沙子ちゃんいいねぇ。あと、かおりちゃんと律子さんか(^^;。わりと若い層な登場人物たちは、良かったのだけど、大人の方は、いかにも「愚か」という風に描かれてたので、そこら辺が、ちと陳腐に見えてしまったが、残念。や、ストーリー展開には捻りがないので、人物描写が肝なんだろうなー、と思うのだけど、そこら辺が、ちょっとステレオタイプ過ぎるのよ。特に、敏夫の描写が、ラストに近づくにつれて、浅くなっていった風味なのでマイナス。

まあ、それはともかく、めちゃおもしろかったことには変わりないのだけど、あ、そういえば、最大の不満は、恵ちゃんは、ラブラブじゃなかったのかー、とか、そこら辺だったりして(^^;。


[ 前月 ] [ 次月 ]