すげぇーーーーっっっ!! いやぁ、非常に雰囲気ある謎とサスペンスな作品。このどことなく陰湿な雰囲気と知的な女子高校生という組み合わせがほんと良いねぇ。
転落死した祖母の遺言により、「魔女の家」と呼ばれる洋館に住むことになった理瀬。表面的には普通に、その裏では互いに相手を探るように、二人の叔母と暮らす日々。祖母の死と遺言の意味とは?そして、不吉な事件が起こる……。シリーズとは銘打っていないものの『三月は深き紅の淵を』『麦の海に沈む果実』『黒と茶の幻想』に連なる作品。って、『黒と茶の幻想』は読んでなかった模様(汗;。いやぁ、前二作は、「出来はいいけど好みじゃないなぁ」という印象だったんだけど、今回の『黄昏の百合の骨』は非常に面白かった。やはり、雰囲気の作り方と情報の出し方がめちゃくちゃ巧いのよ〜〜。あとは加えて、一見、策士してる理瀬が、結局ふつーに女子高校生してるのが、Good。可愛い可愛い。最後の最後まで、きちんと見せ場があって、ほんとにめちゃ良かったです。さいこーーーっ!!
だははははははっ、これが カノン文庫の目指す道かぁ〜〜。<をい
夏の海岸で初々しく恋を進展させるユウと霧人。しかし、ちょうどその頃、邪神クトゥルーも復活しようとしていた……。というわけで、最近話題のクトゥルフかいっ!! いやもう、かなり凶悪な邪神の姿に大笑い。そしてなにより、いよいよ盛り上がりはじめるユウと霧人の二人の仲が素晴らしい。お約束的な展開と場面で、ほんと初々しくていいなぁ〜〜。
次で終わりのためか、ちと急展開に過ぎる感じもするのだけど、ストーリー的には佳境を迎え、次巻が非常に楽しみです。
[ うらにわのかみさま ]
あはははははっ、おもしろい、おもしろい。『楽園の魔女たち』を彷彿とさせるノリで、コミカルでノー天気な登場人物たちが非常にはまっていて、ぐっどぐっど。……ただ、あとがきにあるように、男だらけで萌え的な要素が皆無に近いのが難点か(笑)。
可愛いけれど頭が病気で異常な行動ばかりする宗教集団ミトラーダの陰の総長・シアシーカと、シアシーカのお供に命じられ嫌々ながら従う堅物な軍人気質のハルセイデスは、『水戸黄門』のごとく諸国漫遊の旅に出るのだった……。ということで、メインの二人を含め、一癖も二癖もある登場人物たちによるコミカルな漫遊記。さすが樹川さとみ、こういうコミカルでノー天気な話を書かせたら、ほんと楽しいよなぁ。天然系のお嬢様に振り回される堅物な主人公というのはほんと基本に忠実で、非常に巧く料理されてます。続刊もきちんと出るらしいので、めちゃ楽しみです〜。
[ グランドマスター! ]
ライブドアと楽天だけに絞った方が面白かったんじゃないかなー。ある程度の分量できちんと書かれているのはライブドアと楽天のくだりぐらいで、それ以外は、大まかな概略だけだったり、根拠が示されないままの陰謀論で、がっかり。加えて、全体に論理の飛躍がめちゃ激しいのもなー。
マザーズ上場第一号で後に事件を起こすリキッドオーディオ・ジャパンからはじまり、光通信を経由して、ライブドア、楽天までの時代を、インターネットと新興市場、そして、政治や裏にある闇社会との関係を中心に描いた内容。新書なので仕方ないのかもしれないけれど、全体に大味で、説明不足&論理の飛躍が激しいのが残念。やはり、もうちょっとテーマを絞って書いて欲しかったところ。いやぁ、分量を割いているライブドアの話は、きちんと面白いんだよねぇ〜。わりと容赦のない筆致も読んでてなかなか楽しいし。いや、陰謀論や作者の主張する部分なんかも、本来はもっと面白くなると思うんだけど、説得力を持たすために本来書かなきゃいけないようなことがバッサリ抜けていて、さすがにそれじゃどうかと思う。もったいないよなー。
めちゃくちゃおもしれーーーーーーーーーっっっ!! 「ある朝、目覚めると美少女に」という、ちょっと変化をつけた魂&性別入れ替わりモノなんだけど、いやぁ、漫才的なテンポの良いやりとりが、めちゃおもしれぇーーーーっっっ!! とにかく読んでてニヤニヤと笑いまくり。ほんとおもしろかったぁぁぁっ!!
第7回「電撃hp」短編小説賞<大賞>受賞作。ある朝目覚めると、俺は美少女になっていた。そして、俺の身体に入り込んだ奴は、美少女姿の俺に一目惚れ。「ちゅう」「ちゅう」と、俺の姿でキスを迫りくるようにっ!! と、めちゃツッコミが楽しい漫才ですよ、えぇ。非常に良質のドタバタコメディ。登場人物たちの掛け合いが非常に楽しいのが一番の魅力なんだけど、ストーリー構成にもきちんと気を配ってあって、すげー面白い。ラストの落とし方が、ちょっと好みでなかったのが残念だったけれど、それ以外は、ほんとめちゃくちゃ素晴らしいっ!! とにかく大笑いでした、オススメっ!!
[ リヴァースキス ]
新人さんとしては書けてる方だと思うんだけど、好みじゃない(^^;。やっぱ、萌えがないのがなー。<をい
子供の頃に誘拐され心が壊れてしまった「まーちゃん」と戯言使いと化した「みーくん」。そして、壊れたまーちゃんは、誘拐犯になっていた……。と、うわっ、カバー裏がサイコ風な演出になっていますよっ!! ……そゆわけで、「病んだ人間」の「病んだストーリー」という内容。そゆのが好きならいいんだろうけど、私は、あんまり好きなわけじゃないからなぁ。せめて、単に「病んでる」だけじゃなくて、もう少しプラスα的な魅力があれば良かったんだけど、そういう部分が感じられなかったのが残念。
[ 嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん ]
いつになくまったりとしてるなー。入院した僕のところに毎日お見舞いに来る志乃ちゃん、真白ちゃん、キララ先輩の三人。そして今日も、お見舞いにきた三人とおしゃべりに興じるのだった……。と、一部と二部を繋ぐ幕間劇ということで事件に巻き込まれるということもなく、おしゃべりの延長で、キララ先輩の持ち込んだ事件の話題を推理する、という内容。今回の後半の話の方は、そんなに異常な話でもないと思うんだけど、ちょっと異常な部分を強調しすぎで、そこら辺がちょっと気になったりもしたけれど、相変わらず、シノシノは可愛いし、二人の眼鏡sもいい味出してるよな、ってことで。
[ SHI-NO ]
お前ら、あんまりに生きるのが不器用すぎるだろっ!! や、絶好調だった頃の若木未生を偲ばせる内容になっていて、ほんと面白かったです。なんといっても、最後に降臨してから、9年ぶりぐらいでしたっけ?
「大和組」と「伊納社中」の抗争で緊張が高まる九州。拓己は記憶を失い、大和組の“狼”となり戦っていた。一方、拓己を追う省吾も、九州の地へ。……という感じで、第一部のラストでバラバラになっていた敵も味方も登場人物たちがいよいよ集結ぅ〜。ほんと、難儀な性格をした登場人物たちだよなぁ。ここまで引っ張ったわりには、ちょっと呆気なさすぎな感じではあるのだけど、基本的には、ほんと読みたかった若木未生らしい内容に仕上がっていて、満足満足。……まあ、お楽しみは次回という話ではあるんだけどさ(^^;。
[ イズミ幻戦記 ]
いまいち。や、掴みのアイデアは素晴らしかったんだけどなぁ。
メロンソーダを飲もうと缶ジュースに口をつけたら、缶ジュースが突然女の子にっ! 基本的にはドタバタ系の軽いラブコメなんだけど、ラブ部分の描写が弱いんだよなぁ。いや、弱いというか、きちんとイベントの積み重ねで書くのではなく、さらっと一言、心情を書かれただけで済まされてる予感が。加えて、安易にバトルものにしてるのも、ラブコメ主体なテーマに適切かというと微妙なんだよなぁ。……キャラとアイデアは悪くないと思うんだけど、ラブコメとしては、やっぱダメだと思う。
[ アキカン! ]
おもしろい、おもいろい。なんといっても、各キャラクターたちが生き生きと描かれているのが良いねぇ。元は、[TVA]『エヴァ』の二次創作でしたっけ? ……って、元になった二次創作『錬金術師ゲンドウ』は、まだ、Webで公開してるのかー。ざっと『錬金術師ゲンドウ』を読んでみると、大枠は変わらず、名前の置換&大幅な加筆修正といった感じかしらん?
錬金術師の父と魔女の母を親に持つ地味な少年・御厨恵は、父に造ってもらった全長15cmのホムンクルスの少女・アナに夢中。さらに、ドイツからやってきた上級魔女・エリカも同居するようになって、御厨一家は今日もにぎやか。という感じのホームコメディ。いやぁ、どこかで見たようなとぼけたキャラクター達が、ホントに魅力的。『エヴァ』の雰囲気を残しつつ、それでいて、『エヴァ』のキャラとは異なる魅力を持つ生き生きとした別個のキャラとして、きちんと成立してるのよねぇん。そして、1910年のハレー彗星の来訪により魔法がもたらされた世界という設定も、なかなかに Goodです。ストーリーは、短編を無理矢理繋げて一つの長編に見せかけてるような部分があって、そこは気になるのだけど、まあ、まだ序盤だからなぁ。続刊に大期待っ!!
[ 福音の少年 ]
ゴミ。前半の甘酸っぱい青春ストーリーは悪くはなかったのだけど、後半の戦争パートになってからは酷い酷い。とにかく設定や展開にまったく説得力がないのよね。なんというか、殺すなら効果的に殺せよっ!! 裏切るなら場が盛り上がるようにきちんと伏線を張りやがれっ!!
第1回小学館ライトノベル大賞“佳作”。戦時下にもかかわらず戦死者ゼロとアナウンスされている一見平和な世界。軽音部の一員として楽しい学園生活を謳歌する颯の前に、ある晩、血まみれの現実が姿を見せる……。ヘキサゴン、ユニット、フラグといったシミュレーションゲーム的な設定と壊れていく日常をモチーフとしたお約束なイベントの数々。まあ、やりたいことはわかる。わかるんだけど、だからこそ、「それをやりたいなら、あのシーンをもっと印象付けなきゃダメだろ」とか「もっと、あれそれなシーンを入れ込まなきゃいかんだろ」とか思ってしまう。どうにも、シーンを効果的に見せるための仕込みが甘く、作者の独り善がりな部分が目立ちすぎてる予感なのよな。う〜ん、ガガガの新人作品を読むのは初めてだったのだけど、ガガガはこの程度でデビューさせてしまうのか。正直、他文庫では、このレベルでデビューというのはありえないと思いました。いや、前半パートのように、単純で捻りのない青春ストーリーで終始してくれたら、まだ良かったんだけどなー。
[ Re:ALIVE ]
最終巻。いやぁ、満足、満足。エンドロールを含め、非常に良いエンディングでした。
絶望に打ちひしがれ運命を受け入れる決心をするヒソカ、そんなヒソカを必死に想うサクヤ。そして今、世界の終焉、カーテンコールがはじまる……。各々の滅びの日を間に挟みながら、サクヤとヒソカの最期の二ヶ月をじっくりと描くという構成。内容そのものだけでなく、この構成の巧さもあって、いやもう、涙なしには読めません。素晴らしい、素晴らしい。そして、それまでがあったからこそ映えるエンドロールが、これまた素晴らしい。シリーズのラストを飾るに相応しい、ホントにいいラストでした。ただ、途中のメタ部分はいらないと思うけど(^^;。
[ 殺×愛 ]
笑った、笑った、大笑い。平坂読らしい装飾的な文章と軽く愉快なノリと内容が素晴らしいです。ただ、ネタが、[雑誌]『ファントム』に書いてた短編、『白い恋人』と一緒なのは、ちとどうかとも思ったけど(^^;。
魔法学校に通うソリスは、容姿端麗&成績優秀で完璧超人と噂される憧れの的。しかし、ホントは努力の人で、しかも大きな秘密が……。という感じで、ファンタジー世界の学校を舞台に、愉快なキャラクターたちによるラブコメディ。軽いノリで非常に読みやすく、そして、ストレートなネタと展開なのも作風とマッチしてて、Good。ほんと読んでて、めちゃ楽しい。まあ、第一巻としては非常に面白かったけれど、一発ネタみたいな要素が強いし、続巻が出るとしたらどうするんだろう?と、ちと不安ではあるかなぁん。
[ ねくろま。 ]
ゴミ。特に、終盤はあまりに酷いだろ。そもそも前半は、カフカの『変身』を現代風にアレンジしました、というライトノベルとしては一風変わったノリになのに、そこに無理やり不釣合いなファンタジーでバトルな要素を突っ込むバカ。しかも、ファンタジーの魅力もバトルの良さも作者の人は理解できてないだろう、という非常に低レベルな内容。ライトノベルだからとりあえず入れてみました、という感じですか? 理解できてないんなら、素直に最期まで『変身』のオマージュに徹しろよ。
第1回小学館ライトノベル大賞“佳作”。目が覚めたら携帯電話になっていた、という話なのに、好きな娘の持ち物になってアレな姿を覗き見る的な嬉し恥ずかしな展開はなくガッカリ。代わりに、携帯電話になった俺から見た日常は、わりときっちり描かれていて、そこは面白かったです。……というか、それ以外の部分はあまりに酷いわけですが。特に、ファンタジーでバトル中心の後半はまったく読む価値もなし。
というか、ガガガの新人を二作買って、二作ともここまで酷いとは、いくら弾をそろえなきゃいけないといっても、限度があると思うんですが。イベントでの話やあとがきを読むと、編集の人はわりと内容に口を出してる風だったんだけど、どこを直させてるんだ? ここまで酷いと、もはや、ガガガの新人は買えねぇ。
[ 携帯電話俺 ]
眼鏡が、眼鏡っ娘が、……こんちくしょおぉぉっっっ!! ……いや、ヒロインの渚は素晴らしいツンデレです。その渚を中心として、キャラクター小説としても、学園ラブコメとしても、非常に良く出来た作品です。ほんと、めちゃくちゃ面白かったです。だがだっ、しかしだっ、眼鏡っ娘の朱里がアレでソレで、うわぁぁぁ〜ん(T-T)。
UMA探しが趣味の変人・山ノ上大地は、清楚で可憐な美少女として学校中で人気の麻生渚の、隠していた夜叉のような真の性格を知ってしまう。それを切っ掛けに、大地は渚に「黙っているように」と脅迫され振り回されるように……。という感じで、ツンデレ渚を中心とした学園ラブコメ。いやぁ、渚のツンデレぶりがほんとに楽しい。そしてキャラだけではなく、大地、渚、朱里の三角関係も、「魔の海」の設定も、ストーリー展開の上で非常に上手く機能していて、ほんとラブコメとしてもめちゃ良質です。読んでてとにかく面白く、もうもう、文句無く最高傑作級といっていいような内容なのだけど、……眼鏡っ娘の朱里が(号泣)。
[ 渚フォルテッシモ ]
いやぁ、おもしろい。9.11以降、後進国で激増する内戦と大量虐殺。その大量虐殺の裏には常に一人の米国人ジョン・ポールの関与が見え隠れする。大量虐殺の首謀者暗殺を主たる任務とする米国軍特殊部隊のシェパード大尉は、ジョン・ポールの影を追う……。と、今と地続きの近未来を舞台に、SF的なガジェットを入れ込みつつ、哲学的な死のにおいを織り込んだストーリー。作者の人は、これがデビュー作らしいのだけど、そつなく綺麗にコントロールされた物語になっていて、なかなかに上手い。ほんと読んでておもしろく、先が気になる気になる。
全体に読者の期待を裏切らない展開で非常におもしろいんだけど、ただ、ラストとエピローグに関しては、“お約束”に頼ってしまってる部分があって、もうちょっと伏線なりを用意してちゃんとドラマとして盛り上げて欲しかったなぁん。や、読み進めながら期待していた通りの展開だっただけに、「期待通り」のままでは、正直ちょっと物足りなかったり(^^;。
[ 虐殺器官 ]