面白かったです。ただ、ここまで『鋼殻のレギオス』と関係が薄いんだったら、タイトルに『レギオス』の名前を冠する必要はなかったんじゃ(^^;。一応、世界が繋がってるのは分かるんだけど、この程度の差って、なんちゅーか、上遠野浩平ワールドで言えば『しずるさん』と『ブギーポップ』と同程度だと思うぞ。……いや、全三巻らしいので、最後まで読めば印象違うかもしれないけれど。
そゆわけで、“『鋼殻のレギオス』の前世譚”といいつつ『鋼殻のレギオス』とは直接の関係はなし。とはいえ、『鋼殻のレギオス』で見せるような雨木シュウスケらしい作品なので、『鋼殻のレギオス』が好きなら、十分楽しめるんじゃないかしらん。……世界が拡大しギャングが蔓延り治安が悪化した世界。異界で力を手に入れたアイレインは、自分を救ってくれた異界から来た少女・サヤとの二人の安心できる生活を手に入れるため旅を続ける、という感じの内容かしらん?
『鋼殻のレギオス』同様、設定と展開にツッコミどころは多いのは相変わらず。ただ、各キャラクターは味があり魅力的で、理屈じゃなく熱い展開がめちゃ面白い。基本的には、シスコンのアイレインと無口少女サヤの二人の結びつきを描きつつ超能力バトルという内容なのだけど、特に、アイレインとサヤの関係の見せ方が良いわぁ〜。しかし、どうみてもライトノベルの文法で書かれているので、そもそもなんでわざわざ単行本?という気はしないではないかなー。
[ 鋼殻のレギオス ][ レジェンド・オブ・レギオス ]
帯に“感動の完結編”とあるけど、どこが完結編じゃいっ!! これじゃ、いかにも中途半端だ。まあ、1巻の終わりのような結末をぼかしたようなエンディングの方がこの作品にはあってると思うので、中途半端なままでもいいんだけど、う〜ん、それならそれで、この2巻は蛇足な感じが……。
国定騎鳥選手見習いとなったテオと、シュアル王に嫁ぎに来たものの未だ式を挙げていないリーン。テオはレースでなかなか勝利できず、リーンは花嫁修業に明け暮れる日々を送っていた。そんなある日、貴族を襲う連続誘拐が発生。テオは容疑者として疑われてしまう……。
お約束な熱い展開で面白いことは面白いんだけど、ちょっと登場人物がみんなピュアで、復讐とか陰謀とかいう内容からすると、ちょっと説得力に欠けるのがなー。あとはやっぱり、蛇足感が拭えなかったのが。特に、テオとリーンの関係については、蛇足な上に見るべき+αな部分がないのがなー。1巻がめちゃ良かっただけに、ちと残念。
[ バード・ハート・ビート ]
すげぇーーーーーっっっ!! いや、いかにも尖がった新人作品といった風で、おもしろい、おもしろい。トンデモな設定と展開を、ノリと勢いで読ませる内容。そして、尖がってるだけでなく、文章は読みやすくて新人のなかではかなり地力もあると思います。オススメっ!!
凶悪犯罪増加のため、犯罪者の公開処刑が奨励されるようになった世界。エリート処刑官を養成する“十三学園”に通う比津木奏輔は、処刑よりも処刑後の葬儀に興味を持つ変わり者。今日も、処刑されたテロリストの葬儀を行おうとしたところ、美幼女率いるテロ集団に幼なじみの穂風里とともに拉致されてしまう。果たして、奏輔は、無事に葬儀を執り行うことができるのかっ!! ……と、設定といい展開といい、スゲー変だよ(^^;。そして、“変”なだけじゃなくて、文章や構成の出来も素晴らしく、非常に面白い。第8回えんため大賞最終選考の落選作品ということらしいのだけど、こういう作品こそ賞を上げてやれよ。新人作品としてはこれ以上ないような魅力的な作品で、ほんとに面白かったです。ついでに、よう太氏のイラストも良かったです。
[ ヒツギでSOSO! ]
短編集ではあるけど、普通に 13巻の続きの本編でした。ローマ正教と学園都市の戦いがはじまろうとする前夜、当麻や一方通行たちのそれぞれの日常と想いと戦い。いつも通り、熱い展開もあり、キャラのやりとりは楽しく、そして結局、美琴は不憫だーーーっっっ!!(笑)
とりあえず、当麻周辺は短編集でもいつも通りなのだけど、その中で、毛色が違って面白かったのは、「イギリス清教の女子寮」かしらん。やはり、ローマ正教、学園都市の戦いの中で、第三軸になっていくという展開? ……それにしても、当麻と一方通行が同じ場面に現れると、いつもちぐはぐな描写になってるのだけど、アレはなんなんだろう。もしかしてなにかの伏線?
[ とある魔術の禁書目録 ]
その後を描くなら、フェリオ、ウルク、リセリナのいちゃいちゃラブラブを描かないでどうするっ!! や、読者の関心ごとは、三人の夫婦生活がどうなってるかってことじゃないのかぁ〜〜。<をい
そゆわけで、全12巻で無事完結した『空ノ鐘の響く惑星で』の外伝。シルヴァーナxハーミットの「錬金術師ノ嘆息」、ライナスティの若かりし頃を描いた「幻惑ノ剣士」、ベルナルフォンの過去話「今宵、二人ノ結婚式」、ソフィアxブラドーの「王ト王妃ノ今日コノ頃」、そして、幕間劇として、十年後のオールスターズといった内容。各短編の中では、特に、ソフィアがいいねぇ。……ただ、外伝ということだと、これはこれで悪くは無いけど、私の期待してた話は無かったので、ちと物足りなかったりもして。
[ 空ノ鐘の響く惑星で ]
イハナさいこーーーっっっ!! もうもう、三日目のイハナがほんとに素晴らしいっ、はぅ〜、くらくらですぅ〜〜。
願いを叶えるには『イブ』が必要。果たして、コウとセックスして『イブ』となるのは誰かっ!! というわけで、状況を知らずに発情状態に置かれたコウと、コウを誘惑しようとする、小鳥遊恕宇、真嶋綾、舞原イハナの三人、という話。正直、もっとラブでバトルでエロエロな内容になるかと思っていただけに、期待とは異なる展開はちと残念に思ったりもしたんだけど、なにはともかく、ほんとイハナが素晴らしいぃぃ〜〜〜。うひぃ〜〜〜。……それにしても、伏線が張られまくりでどんどん話が膨らむ膨らむ。まだまだ序盤ということですかっ。先の展開がまったく見えないわけですがっ!! いやもう、続きがめちゃくちゃ楽しみです。
[ 悪魔のミカタ ]
1巻は下手な部分も目に付いたんだけど、この2巻は凄く綺麗で良質な作品に化けてるんですけどぉ〜。や、コミカルに味付けつつ、ほろりと“いい話”として、綺麗に纏めてあって、めちゃくちゃ素晴らしいっ!!
夢魔を退治するお祭り女・夏希を中心とした連作短編。2巻では、新たに“巨象機関”のジェシカが登場。ジェシカは夏希のオモチャにされる……、という内容。ほんと、綺麗でいい話。特に、「ダウジングガールxチャイルディッシュウーマン」が秀逸。上手くいかない就職活動に挫けそうな女子大生・直美が、学校にも家にも居場所の無い少女・みかと心を通わすことで立ち直っていく、という話なんだけど、ベタで予定調和な展開をベースに、コミカルにいい感じの青春ストーリーと纏めてあって素晴らしい。他の話も、コミカルな味付けで楽しませつつ、ツボをきちんと押さえたベタでいい話に纏めてあって、ほんとに良く書けてるよなぁ。
ただ、綺麗な連作短編として攻めて行くのかと思ったら、ラストでストーリーを動かすような展開を入れてるので、今後はちと不安だなぁ。あと、夏希と智紀を除くと 1巻のキャラがいきなり出番がなくなる、というか、キャラを使い捨てる傾向が強いので、そこら辺も気になるなぁ。
[ なつき☆フルスイング! ]
微妙。そもそも、表紙の眼鏡な少女は、絵では眼鏡をかけてるけれど、中身はさっぱり眼鏡っ娘じゃねぇーーーっっっ!! ……萌えも燃えもない地味だけどちょっといい話を目指して書いたんだろうけど、そういう作家の個性より実力が試されるような内容を書くには、構成力も描写力もまったく足りてない予感。いや、新人にしては書けてる方ではあるんだけどねぇ。
電撃の新人。やりなおしたい過去へ時間を戻してくれる「ひなた橋」にまつわる連作短編。基本的には、せつなく感動系の話を狙っていて、特に第二章の死んだ幼なじみの話なんかは、わりと好みで泣けるんだけど、う〜ん、ループを取り入れた構成はあまり上手くないし、泣かせるための描写や演出も淡々として不足気味なんだよなぁ。いまひとつ。
[ ひなた橋のゴーストペイン ]
素晴らしい、素晴らしい。あらすじ的には「恋人が死んだことを未だ引きずっている青年が、新しい愛に辿り着く」という内容なのだけど、いやぁ、ストーリーはともかく、主人公の青年の本人は大丈夫なつもりの未だ傷ついたままの心を描くその描き方が、めちゃくちゃ秀逸。あくまで青年が立ち直る様を描いてるのではなく、1冊通して、「未だ傷ついたままの青年」を描いてるのんな。そのせいで、ラストの立ち直る部分は微妙ではあるけど、ホント、心の描き方が巧くて素晴らしいなぁ。あとは、ヒロイン役となる双子姉妹の描き方も面白かったです。どことなく竹本泉を思い出したり。<をい
そいえば、上下巻ではなくて、わざわざ「side-A」「side-B」と表記してるのは、なにか理由があるんだろうか? 「side-A」は綺麗に 1冊で纏まってるし、「side-B」は単純な続編じゃないってこと?
[ 真夜中の五分前 ]
あう、いろんな意味で、「side-A」でやってたことが台無しだろ(T-T)。……「side-B」になったらいきなり、インパクト勝負で場当たり的な B級作品になってしまってるんですよ。いや、作者の人も出来が酷いのはわかっていて、それでも、「作りがおもしろいからいいや」みたいなノリで出版したんだろうなー、と想像できるんだけど、さすがに、ここまでいい加減で出来が酷い部分が目立つと、いくらインパクト勝負といったって、ちょっと読者をバカにしすぎだろー。
や、頭の悪いサスペンス的な B級作品としてみれば、確かに、これはこれで面白い部分もあるのだけど、やはり、「side-A」との関係があんまりにあんまりだよなー。あとはやっぱり、インパクト勝負といったって、もうちょっとまともに書いて欲しかったよなー。まあ、インパクトは確かにあるし、そういう点では、作者側の狙い通りの作品に仕上がってるのだけど……。
[ 真夜中の五分前 ]
素晴らしい。若者らしい恋と悩みの描写といい、SF的な設定といい、きちんと納得できるクオリティで仕上げてあって、Good。まあ、散見される青臭い展開は、正直、好みではなかったんだけど、そゆ部分を差し引いても、十分に素晴らしい作品でした。
第1回ノベルジャパン大賞、佳作。若さゆえの悩みを抱いてたりするカズヤは、某綾波レイっぽい雰囲気のミオに一目惚れ。カズヤはミオに交際を申し込み付き合うことになったが、ミオには秘密が……。という感じの内容なのだけど、新人さんにしては、凄く出来が良いっ!! 青臭くて好みじゃない部分も多かったにもかかわらず、それ以上にめちゃくちゃ面白かったです。いやぁ、物語のベースがしっかり出来ているという印象。そして、前半の恋愛&若者の悩みの描写も素晴らしく、SF設定の説得力もなかなか。これで、ライトノベルらしい青臭い展開を廃して、もっと硬質なSF系恋愛作品に仕立ててくれたなら、すげー好みで大絶賛だったんだけどなぁ。とにもかくにも、筆力は非常に高いと思うので、今後の作品も楽しみですっ!!
[ カッティング ]
いやぁ、おもしろかったっ!! ノリは楽しいし、小ネタは笑えるし、そして肝心のストーリーも少年の成長モノとして、とても良質。……宇宙人娘ヤヨイに天使にされたユースケたちは、敵対する宇宙人マリコ&中国マフィアとの戦いに備えて特訓をはじめる。と、特訓+新キャラ投入という話なので、1巻の展開からするといきなりストーリーが停滞してる感じもするのだけど、むしろ、そのストーリーから外れた特訓シーンのノリの方が、面白かったり。やっぱ、小ネタを織り交ぜつつ本気か冗談かわからないような、このバカなノリは非常に楽しいわ。まあそれだけじゃなく、挫折と成長の青春ストーリーとしては王道的に綺麗に描かれていて、ほんとに良かったです。ユースケもそうだけど、ヤマネの描かれ方がいいよねぇ。
[ アンジェリック・ノワール ]
渡瀬草一郎の『空ノ鐘の響く惑星で』が終了したので、その渡瀬草一郎のデビュー作『陰陽ノ京』に手を出してみました。『陰陽ノ京』は、第7回電撃ゲーム大賞の金賞だったのかぁ。第7回というと、『天国に涙はいらない /佐藤ケイ』や『ウィザーズ・ブレイン /三枝零一』と同期かしらん。
というわけで、渡瀬草一郎デビュー作。平安時代に実在した慶滋保胤を主人公に、安倍晴明らと共に陰陽道で鬼を払う、という内容。うわぁ、渡瀬草一郎って、デビュー先からこんなにレベル高かったのかー。文章も読みやすく、構成もしっかりしていて、非常に Good。なにより、ライトノベルのくせに、平安時代の描写がファンタジーではなくて、きちんと史実の上に組み立てられてるのが素晴らしい。そして、そういう部分だけじゃなくて、なんといっても、吉平と貴年の淡い関係がいいよなー。あとは、時継の想いもなかなか。……とにかくバランスの良い、非常に良質な作品。まあ、好み的には、もっとラブ寄りの方がいいんだけど、そこも今後に期待できそう。続刊も楽しみです。
[ 陰陽ノ京 ]
いろいろと新しく伏線が張られまくりでスケールも大きくなり、いやぁ、先が楽しみっ!! 先が楽しみなだけでなく、この巻だけで見ても、後半の盛り上がる展開は素晴らしく、非常に面白かったです。
世界各地で発生する謎の灰色名詠の使い手による襲撃事件。そして、トレミア・アカデミーも襲われ、ミオが巻き込まれる。クルーエルやエイダたちは無事にミオを救出できるか? そして、灰色名詠の使い手の目的とは……。という感じで、灰色と夜色の関係、そして、見え隠れする謎の存在。さらに、クルーエルとネイルの想いと未来はどうなる? という内容で、ほんと先が楽しみだなぁ。盛り上がるストーリーもさいこーーーっ!! ただ、説得力を出すための説明の仕方がかなり下手なのが気になったりもするんで、そこだけは改善して欲しいよなぁ。や、設定はわりと細かく考えられてるように思えるんだけど、どうもその見せ方のせいで後付けのように見えてしまっていて損してる予感が。
[ 黄昏色の詠使い ]
だははははははっ、さすがに本編とのギャップが大きすぎるだろっ!! や、時間軸的に 5巻のラストから続く話なんだけど、あのシリアスのラストから、良くぞここまでおバカな話につなげるよなぁ。いやぁ、ひたすら大爆笑ですよっ!!
そゆわけで、自分の信念に従った結果、カンパニーをクビになったミミコ。無職になったミミコの転落人生が、いま始まるっ!! という感じで、5巻のラストでカンパニーをクビになったミミコが、フリーの調停屋として歩き始めるまでの話なんだけど、すげーよ(笑)。ほんとにひたすらバカで大笑い。本編がシリアスでハードな展開の真っ只中だったにもかかわらず、こんなおバカな補完シナリオを書くなんて、世界観が壊れかねないぞっ(笑)。ほんとよくやるなぁ。素晴らしいです。
あと、書き下ろしの過去編は、ストーリー的にはあんまし面白くなかったんだけど(^^;、カーサの転化の真相に、とうとう近づいてきてますよっ!! いやぁ、続きが楽しみです。
面白いんだけど、センスが古すぎるだろっ!! いやぁ、扱ってるネタは数年前によく見かけたようなモノだし、書かれているネットや学校の描写もまるで前世紀のようだし、ほんとにこれが、2007年の作品ですか(笑)。近未来SF的な要素も絡んでくるだけに、なおさら、この古臭さがなんとも微妙。いったい、この作者の人は何歳なんだ(^^;。
友人が主催する出会い系チャットに入った衛は、そこで病院に入院してるという少女、葉月と出会う。互いに惹かれていく衛と葉月だが、葉月には秘密が……、という話。出会い系チャットも今更感があるんだけど、ネットの描写も凄く古さを感じさせて、にんとも。そして、葉月に関する秘密やその後の展開も昔よく見たような内容で、とことん古いのよ。……まあ、センスの古さを差し引けば、綺麗に纏まった純粋でせつない恋愛モノとして仕上がっていて、わりと好みで面白かったです。ただ、ラストのオチは、もちょっと工夫の余地があったようにも思えるけど。
[ シンデレラの魔法が消えぬ間に ]
大きなストーリーがなくなって、なんだかまったりしてるなー。読んでてにやにやしまくりなので、「まったり」というのとは、ちょっと違うかしらん(^^;。や、『初恋マジカルブリッツ』は、ストーリーを追うよりもキャラのやりとりを楽しむ作品だと思うんで、今回みたいにストーリーらしいストーリーのない、キャラにフォーカスした内容の方が、あっている予感。今後は、こういう感じになっていくのかしらん?
そゆわけで、前世の妻・アルミナ登場で、鼓太郎x祈梨の関係はどうなる?という話も、前巻の3人プレイで無事解決。今巻は、奥さん 2人を含む、鼓太郎に恋する 5人に焦点をあてた 4編の短編集。……って、5人の中に、琴子がいなくて絶望したっ!! しかも、あとがきで期待させておいて、姫沙樹の扱いにもがっかり。いや、予想よりも出番が少なく、もっと絡んでくると思ってたのにぃ〜。
で、4編の中でよかったのは、やはりユージェニーの話だよなぁん。「勇気がなくて素直になれない女の子」を地でいっていて素晴らしい。や、祈梨がいるので一歩引いているという立ち位置だったのが、アルミナも奥さんに昇格してしまったので、もはや、三人目の奥さんへまっしぐら、という感じだからなぁ。……それにしても、アルミナにしろ、祈梨にしろ、鼓太郎にしろ、ちょっとキャラが変わりすぎだと思うんだけど(^^;。
[ 初恋マジカルブリッツ ]
ゴミ。ラストは好みだったのでその点は良かったけれど、妄想エンジン搭載で思考がワープしまくる登場人物たちと、飛躍が激しすぎる超ロジック。加えて、読者に提示される情報も、本筋に関係のない枝葉の部分ばかりにページを割く始末。つまり、近未来SF風な体裁を取りながら、物語としては筋が通ってなくロジックの積み重ねもむちゃくちゃで、結果、説得力が欠片もないのよね。……致命的に酷いと思う。
地球の近距離を通過する周期4,000年の彗星と、彗星の軌道上に見つかったニュートリノ信号の発生源。その彗星や信号の発生源と、古代インドの聖典「リグ・ベーダ」が示す数字との奇妙な一致。そして、そこに見え隠れする人類を超越する存在とは? という感じの着想は面白いんだけど、やはり、ここまで説得力がないと致命的だよなぁ。そもそも、新人でもないのに、説得力を出すための手法がてんで話にならないぐらい下手なのは、いったいどういうこと?
[ スペースプローブ ]
うわぁ〜〜〜〜〜〜、むちゃくちゃ重い展開になってるなぁ。そして、対キャスター戦のスケールの大きなこと、大きいこと。ほんと、「凄ぇ……凄ェよ! マジ凄ェえ!」by 雨竜龍之介。
キャスターの暴走により混乱の極みに陥る冬木市。そして、雁夜と時臣の対決。じょじょに壊れていくアイリスフィール。非道で冷酷な切嗣と、とうとう破綻するセイバーとの関係。いやぁ、いよいよ次巻で最終巻というこの段に到っては、愉快で豪快なライダーも影が薄くなり、スケールの大きさと重苦しく凄まじい展開ばかりが目立つ印象。ほんと凄い展開になってるなぁ。中でも凄かったのは、キャスター戦のバーサーカーだよな。あんなもんなで使うのか、みたいな(笑)。あとは、時臣の凛や桜に対する想いも見所で、ほんとに続きが待ち遠しい。……しかし、これで、4巻で終わらせるとすると、4巻にどれだけ詰め込みつもりだ(^^;。
[ Fate/Zero ]
むちゃくちゃおもしれぇーーーーっっっ!! 頭の悪い(注:誉め言葉)キャラたちが、非常に楽しいっ!! めちゃ楽しいっ!! ツンデレ属性なカタナとメイド少女の冥がすげー可愛い。そして、裸に剥くのが得意な主人公って、あははははははっ。……ただ、新人の中でもかなり下手で、クオリティも酷いレベルだと思うので、好みに合わないと酷い評価にしかならない予感もするけど(^^;。
そゆわけで、第11回スニーカー大賞《奨励賞》受賞作。人を自由に操ることの出来る“糸遣い”の主人公・透真は、突然失踪した母親を探すため、異能者たちが暗躍する世界へ足を踏み込む、という内容。「あそこでああ書いたのにここでこう書くのは演出&設定&構成的にどうよ?」と思える部分がそこかしこにあって、つまりその場その場でそれっぽい文章を書いてるだけで他のシーンを考慮したような書き方になってないので、完成度はすげー低いんだけど、いやぁ、とにかくキャラのやりとりが楽しいわぁ〜。まあ、キャラも主人公辺りは描写が一貫してないので、やっぱりここでも作者の力量不足を感じるんだけど、そういう理屈抜きに、ほんとキャラが非常に楽しいっ!! こういうキャラがバカやってる作品はすげー好きです。続刊もきちんとあるみたいなんで、今後の成長にめちゃ期待っっっ!!
[ 操り世界のエトランジェ ]