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好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!! −2008年4月に読んだ本



幻冬舎 幻冬舎文庫
てるてるあした /加納朋子

最高傑作級。うわぁ〜、ラストが泣ける、号泣。加納朋子らしく、計算されて組み立てられた構成。そして、『ささら さや』の姉妹編ということで、見事なまでに感動的なストーリーに仕立ててあります。もうもう、ホントに素晴らしいなぁ。

借金で夜逃げした両親。親に捨てられる形となった照代は、遠い親戚の冷徹で厳格な婆さん、久代の家に居候することに。そんな不遇の環境に一人泣く照代に、身元不明の励ましのメールが届き始める……。『ささら さや』の姉妹編ということで、『ささら さや』の「佐々良」を舞台に、照代以外はほぼ同じ登場人物たち。そして、『ささら さや』同様、不思議なネタをエッセンスにと。

いやもう、不幸な境遇に陥ってしまった少女・照代が主人公なのだけど、過度に泣ける演出にはなってなく、むしろユーモラスな筆致で適度に笑えるテイストに仕上がっていて、その上で、せつなさを暖かさで包み込んだような内容になってるのんな。そして、計算して組み立てられたストーリー構成は、ほんとにほんとに出来が良くて、とにかくラストはじんわりと感動的に仕上がってるのよ。ほんとに心温まるステキな物語でした。

[ ささら さや ][ てるてるあした ]


中央公論新社 C★NOVELS Fantasia
ドラゴンキラーいっぱいあります /海原育人

いまいち。や、後半は面白かったものの、全体にキャラが作者の都合で動いてるようにしか見えないのがなー。どうにも、作者の思惑ばかりが目立って、キャラの描写が取ってつけたような感じになってしまってるのが、にんとも。

かつての上官・ロブとの再会、そして、もう一人のドラゴンキラー・アイロン。鬱屈した想いを抱いていたロブとアイロンは、やがて……。というのが、この巻なのだけど、特にこの新キャラ、ロブとアイロンが、とにかく都合の良いキャラにしか見えないのよな。そして、作者の都合通りにそのまんまに展開するストーリー。ストーリー自体も「いっぱいあります」がやりたかっただけでしょ?といった内容で、決して出来は良くないしなぁ。正直、三部作の一作でこのクオリティはないと思う。残念。

[ ドラゴンキラーあります ]


集英社 コバルト文庫
マリア様がみてる マーガレットにリボン /今野緒雪

サブタイトルがサブタイトルなので、岡田あーみんリスペクトかと思ったら、違っていて残念。<をい

短編集。雑誌掲載分のまとめではなく、オール書き下ろしということなんだけど、まあ、いつも通りかな。「青い傘の思い出」は多少毛色は違っていて、物珍しい感もあったけど。シリーズ全体でのストーリー構成で言えば、卒業式前のタメ的な一冊。……今回は、ストーリーで読ませるより雰囲気で魅せる傾向が強いと思ってるのだけど、それにしては、ちょっとイベントあり気なのが気になるところ。もっと、日常日常した内容の方が良かったと思うんだけどな。

そいえば、あとがきによると、“祐巳・祥子編もそろそろゴール”ということなんだけど、卒業式以降も、瞳子・祐巳編として続くということなのかしらん?

[ マリア様がみてる ]


集英社 コバルト文庫
帝冠の恋 /須賀しのぶ

どんだけマイナーな選択だよっ!! いや、もともと、ヨーロッパ史は疎いのでアレなんだけど、有名なナポレオンやフランツ・ヨーゼフでなく、その息子と母親っ!! っていうか、フランツ・ヨーゼフの母親、ゾフィーって、やっぱ、悪いイメージが強いと思うんだけど、なんでわざわざ、そのゾフィーをヒロインに選びますかっ!!

そゆわけで、19世紀のオーストリアを舞台にした、ナポレオンの息子フランツと、ハプスブルク家に嫁いできたゾフィーとの禁じられた恋の物語。聡明で大きな野望を抱いているゾフィーの、その野望と大公妃としての立場と、フランツへの恋心のあいだで葛藤する様を、須賀しのぶらしく描いていて非常に面白かったです。19世紀の時代感と雰囲気をツボを押さえてわかりやすく表現した上で、そして、ドラマティックなストーリーに仕上げているのは、さすがに見事。まあ、一人の女性の半生を、たった一冊に纏めたものなので、さすがにちょっと駆け足になっちゃっていて、そこは残念かな。正直、一冊で書く内容じゃないだろ。……ただ、そもそも、このマイナーな話を、単巻とはいえ良く書かせてもらえたな、とは思うけど(^^;。

[ 帝冠の恋 ]


角川書店
飛鳥井全死は間違えない /元長柾木

ダメダメ。キャラ設定はぶっ飛んでいて魅力的なんだけど、他は、雰囲気でなんか凄そうにみせてるだけ。キャラの描写もストーリーも全くパッとしてなくて、これはちょっと酷いと思う。

人のメタテキストを改変できる電気娘・飛鳥井全死と、敵からの攻撃を自動的に回避してしまう辺境人・香織甲介の物語。まあ、変なネーミングや、謎の二つ名、妙な異能といった設定は、セカイ系というか、西尾維新のノリを狙っていて、そこら辺は面白かったのだけど、それだけ。他は、雰囲気で誤魔化してるだけだからなー。ストーリーは綺麗に纏めてたりして、そう出来は悪くはない気もするんだけど、結局、ぶっ飛んだキャラ設定のわりに、他は余りに地味で魅力に欠けすぎる。

や、この作品の続編らしい『荻浦嬢瑠璃は敗北しない』を読み始めたらすげー面白いので、「これは先に、『飛鳥井全死は間違えない』を読んでおかなきゃいけないかしらん?」と思って手を出したのだけど、あまりに酷くてガックリ。まあ、嬢瑠璃と全死の関係がわかっただけで、善しとするかなぁ。

[ 飛鳥井全死は間違えない ]


角川書店
荻浦嬢瑠璃は敗北しない /元長柾木

だはははははっ[WIN]『ONE』ネタは余計だろっ。や、[WIN]『ONE』が、いちばん笑ったネタだったのだけど、でも、ネタのためのネタにしかなってなくて、ストーリー的には、むしろマイナスにしかなってないのよ(笑)。……それはともかく、キャラはみな魅力的で、西尾維新的なノリの設定とストーリーも出来がよく、非常におもしろかったです。

世界の革命を目指す眼鏡っ娘・荻浦嬢瑠璃が、主人・飛鳥井全死に命じられ学園の日常に復帰する、と言うトコからはじまる学園と青春の抗争の日々な話。前作『飛鳥井全死は間違えない 』は、雰囲気だけで中身がなく、ちょっと酷いと思ったのだけど、この『荻浦嬢瑠璃は敗北しない』は、きちんとストーリーが分かりやすく整理されていて、中二病的な設定もわりと地に足をつけて馴染んでいるし、なにより、それぞれのキャラクターがとても魅力的に描かれていて、すごく面白かったです。それに、嬢瑠璃は、眼鏡っ娘だしなっ!! いやぁ、ホントに面白かったっ!!

それにしても、“これは文芸かギャルゲーか!?”というコピーは、誰がつけたんだ? 営業的にはアリかもしれないけど、あまりに作品の本質を外したコピーで、こー、最低限、中身を理解してから、コピーは付けるべきだと思う。

[ 飛鳥井全死は間違えない ]


メディアワークス 電撃文庫
とらドラ7! /竹宮ゆゆこ

ハイパーギガンテススペシャルなんたら超超超超超最高傑作っっっ!!(意味不明) あああああぁぁっ、もうもう、だんだんだんだんっ、うきゅぅぅ〜〜〜〜〜。だぁーーーーーーーーーーっっっ!!

いやもう、素晴らしい、素晴らしいっ!! べったべたな少女漫画的な展開ですよっ!! こう、不安定な土台の上に、小さな幸せを積み重ねていく演出。そして、満を持してやってくるのは、幸せの絶頂、クリスマス・イブっ!! あああああああぁっ、前中盤の、微笑ましく暖かい雰囲気の中に崩壊を予感させる描写も素晴らしいんだけど、やはり、仕込みに仕込んだ終盤の展開が凄すぎるよなぁ。ほんと、これこそ、多角関係モノの醍醐味。まさか、21世紀に突入した今の時代に、ここまで正面向いて恋愛を語ってくる作品に出会えるとは思わなかったよ。どんだけ素晴らしいんだっ、こんちくしょ〜〜。

それにしても、恋愛モノの王道パターンであれば、あそこは普通、もっと泥沼&長期化パターンにするもんかと思ったのだけど、ああいう展開ということは、わりと早く決着つけるつもりなのかしら? でも、伏線が凄いことになっている亜美がいるしな。うわぁ〜、ホント亜美の扱い次第では、マジに恋愛モノとして、神の領域に到達できるよ。ほんと、こいつらの明日はどっちだっ!?

[ とらドラ! ]


メディアワークス 電撃文庫
七姫物語 第五章 東和の模様 /高野和

相変わらずの穏やかな語り口で、おもしろいおもしろい。そして、その語り口とは裏腹に、なんですか、その怒涛の急展開はっ!! うわぁぁぁぁぁ、早く続きが読みたいぃーーーーっっっ!! ……って、どうせ、続きは、一年以上あとなんだろうケド(^^;。

東和という中華風架空世界を舞台にした、七つの都市国家と、それぞれの都市国家が推す七人の宮姫の物語。とにかく刊行ペースが遅いのが玉に瑕なのだけど、戦国時代にある都市国家同士の権謀術数を、穏やかな語り口で魅せる様は、やっぱり、素晴らしい。そして、この5巻で物語も大きく動き、いよいよ凄くなってきたよ。外道な奴も登場し、いやぁ、あと数巻で完結させるつもりなのかしらん。ほんと、続きがめちゃくちゃ楽しみです。……ただ、展開が急でちょっと説得力がないだろ?と思うところも。いや、理屈ではわからなくもないんだけど、とくに、一宮シンセン、二宮スズマの展開は、もうちょっと、エピソードを入れてページを割いて書いて欲しかったなぁ。あと、ストーリー進行がメインで、遊びが少なかったのも、ちと残念だったりも。

[ 七姫物語 ]


メディアワークス 電撃文庫
θ 11番ホームの妖精 /藤真千歳

ダメダメ、というか、リアリティの置き方が、私的に気持ち悪すぎる。もともと、「多少の嘘は気にするな」というタイプのファンタジー色の強い SFなのだけど、そこで、SFらしいリアリティを出すために、“東京駅”とか“国土交通省”とか“J.R.”とか、現実の固有名詞を出す手法を用いているのんな。……この手法で、リアリティを感じる人もいるんだろうケド、私には、むしろ胡散臭さが倍増するだけで、とてもじゃないけど、読めたもんじゃなかった。素直に、ファンタジー世界にしてくれれば良かったのに(T-T)。

そゆわけで、ワープ航法っぽい技術が開発された未来。東京駅の、上空2,200mに浮かび滅多に使用されることのない、11番ホームを担当する三等駅員である少女の物語。基本的には、のほほんとした雰囲気の中での、一風変わったお客さんとのちょっといい話。まあ、雰囲気は悪くないのだけど、やっぱり、ツッコミどころの多い設定とリアリティの置き方が、どうしても私には合いませんでした。ていうか、この粗い設定で、ムリに SFっぽさを出そうとしたのが失敗だと思う。残念無念。

[ θ 11番ホームの妖精 ]


メディアワークス 電撃文庫
Kaguya 〜月のウサギの銀の箱舟〜 /鴨志田一

くぅ〜〜、ヒロインのひなたがさいこーーーーーっっっ!! もうもう、ヒロインの銀髪盲目少女が、とにかく魅力的な萌え小説。くうぅ〜〜〜〜〜。ホント、ひなただけでもう、めちゃくちゃ素晴らしいですっ!! 最高ですっ!!

と、逆にいえば、設定やストーリーは、あまりに酷い(^^;。いや、こんなにテンプレートな内容なのに、なんで、ここまでツッコミどころが多いんだ? 一部の10代のみが超能力を持っているという設定の上で、連続殺人事件の犯人を追うというミステリー仕立ての展開なのだけど、使い古された設定の割に工夫もなく薄っぺらだけ、ミステリー的な謎解きも、あまりに何も考えていない陳腐なもので、まったくいい点がない。……あぁ、素直に、ヒロインの可愛さを生かして学園ラブコメに徹してくれれば良かったのになー。こんなにひなたは可愛いのに、あまりにもったいなさすぎます。

[ Kaguya ]


徳間書店 徳間デュアル文庫
福音の少年 時の神に抗いて /加地尚武

魔法使いvs憑かれた者の最終戦争っ!! いやぁ、盛り上がる盛り上がる。すっげーおもしろかったっ!!

緊張が高まる世界情勢。黙示録に予言された最終戦争を防ぐことは出来るのか? という感じで、いかにも最終巻間近といった、テンション高く怒涛の展開っ!! とにかく、ぐいぐい引き込む&一気に読ませるストーリーが、めちゃ面白かったです。まあ、前中盤では構成が悪くシーンで意図した効果が十分に発揮されてなかったり、肝心の後半の山場ではいまいち描写が弱かったりと、既刊と同様、やっぱり完成度は低いんだけど、それを気にさせないぐらい、ストーリーに引き付けられましたっ!! いやもう、次回で最終巻ということで、すごく楽しく盛り上がってます。そして、急展開のラストシーン。次もめちゃ期待していますっ!!

[ 福音の少年 ]


メディアワークス 電撃文庫
鳥籠荘の今日も眠たい住人たち(4) /壁井ユカコ

いやぁ、華乃子はやっぱりいいなぁ。華乃子のパパに見合い話は持ち上がるという、第1話「Father's Style 〜エビフライの華乃子の場合」が、暖かく気持ちのいい家族愛な内容に仕上がっていて、ほんとに素晴らしい。……そして、今になって、へれんさんの短編を入れてきますか(^^;。

そゆわけで、変人だらけの「鳥籠荘」の住人たちを描いた連作短編。高いレベルで安定した壁井ユカコの筆力は、やはり素晴らしい。今回は、キズナや華乃子に輪をかけた変人のへれんもヒロインとして登場。って、さすがに、あそこまで現実離れしてるのは、どうよ(笑)。そして、小学三年生の華乃子は、ほんとに可愛く、そして、暖かく描かれていて、ホントいいなぁ。

ただ、急展開の第4話「Home 〜逃げる理由、とどまる意味」はいただけない。単純にテンプレートに当てはめただけで、中身はスカスカで内容がない。最終話に向けて、いかにもな急展開が描きたかったんだろうケド、ほんとに急展開を演出するだけの内容で、『鳥籠荘』らしさがないと意味がないと思うんだけどなぁ。ラストまでこういうテンプレートな内容でいってしまうのか、凄く不安だ……。

[ 鳥籠荘の今日も眠たい住人たち ]


小学館 ガガガ文庫
人類は衰退しました(3) /田中ロミオ

ラストのオチが大笑い。のほほん&ふるふるとした雰囲気は相変わらずで、いやぁ、おもしろかった、おもしろかったっ♪

そゆわけで、人類がゆるゆると滅亡に向かっている世界での、のほほんとした妖精さんとのお話の第三段。今までは短編集形式だったのが、今回は、長編一本。なので、いつもに比べて、わりとストーリーが強めでノリは多少違ったかしらん? ただ、ベースは変わらず、ぴおんさん周りのネタがさいこーーーーっ!! さらに、助手さんもなかなかいい味出してるよなぁ。そしてなにより、ラストの絵本が Good、Good。オチが素晴らしいーーーっっっ!!

[ 人類は衰退しました ]


富士見書房 富士見ファンタジア文庫
生徒会の二心 碧陽学園生徒会議事録2 /葵せきな

第一巻同様、生徒会室でダベるだけ。素晴らしいっ!! 大した内容もなく、ひたすらボケとツッコミを軽快に繰り広げるだけなのだけど、そこが良いっ!! いや、ホント、魅力あるキャラと楽しい会話があれば、それで、めちゃくちゃ面白いのよな。読んでてニヤニヤが止まらないっ!!

ほんと、読んでてめちゃ面白いのだけど、ただ、多少気になるのは、たまに妙な伏線?が描かれていて、そこは不安。ただダベってるだけでいい、というか、そこが魅力なので、変にストーリーは作らないで欲しいんだけどなぁ。あと、新キャラで先生が登場するのだけど、そこは、新キャラなしで、生徒会メンバだけで、進めて欲しかった……。

[ 碧陽学園生徒会議事録 ]


富士見書房 富士見ファンタジア文庫
黄昏色の詠使いVI そしてシャオの福音来たり /細音啓

作者の人、遊んでるなぁ(笑)。今回は、短編集ということで、本編とは関連の弱い、軽くコミカルな話が中心。全体に、ちょっとオチが弱めな印象はあったのだけど、十分に面白かったです。っていうか、本編とのギャップがありすぎっ。特に、刃物マニア同好会、もとい、料理研究会は、凄すぎるだろっ!! ホント、遊びすぎだっ!!

本編の続き、第二楽章に繋がる表題作「そしてシャオの福音来たり」も収録されているけど、これについては、その第二楽章を読んでみないと、なんとも言えず。それこそ、第二楽章次第だなぁん。

[ 黄昏色の詠使い ]


メディアファクトリー MF文庫J
アストロノト!3 /赤松中学

実際の有人火星探査計画を下敷きにしつつ、ライトノベルらしいキャラクター小説に仕立てているのは、やっぱり、お見事。ただ、いろいろと詰め込みすぎかなぁ。そのせいで、今まで以上にご都合主義、というより、作者の都合が目立ってる予感でにんとも。

そゆわけで、キャラ萌え&SFなシリーズ第三段。今回は、いよいよ火星へ、という話。いやぁ、火星までの道程と、火星の状況が、SF的に楽しい楽しい。やっぱり、このシリーズは、SFとしてのネタの仕込み方がすごく秀逸だと思う。一見ファンタジーのように見せながらも、きちんとリアルをベースにしつつ、そして、フィクションを大切にして適度にリアルに拘らない様は、ほんと素晴らしい。

一方、キャラクター小説としての部分は、各キャラは相変わらず魅力的に描かれているものの、ラブコメとしては、すでにキャラの立ち位置が固定化してるので、正直そろそろツライと思う。いやもう、固定化してる関係を、作者の都合でムリヤリ動かしてるような感じなのよ。ツンデレなレンビア、腹黒なナキアミに、お子様王女のユァンまで参戦、というのは悪くないとは思うんだけどねぇ。まあ、今回で決着したのは良かったかなぁん。ていうか、今回で完結ということでいいのかしらん?

[ アストロノト! ]


メディアファクトリー MF文庫J
魔女ルミカの赤い糸3 錆びついた時計台 /田口一

挿絵もエロくて電車で読むには危険だ(笑)。ほんとにもう、ストーリーはともかく、エロい行為とその描写が素晴らしい。とにかく、エロエロ。もう、それしか印象がないよっ!! ……今回のストーリーは、謎の少女連続行方不明事件が発生、そして、何か知っていそうなドイツからの美少女転校生・アリシアが登場、という感じ。まあ、エロエロな部分を除けば、設定はチープで構成も悪く、やっぱり、作者の力量不足が目立つのが残念。ただ、エロエロな部分だけは、描写も巧く、ほんと素晴らしいのだけど。

[ 魔女ルミカの赤い糸 ]


集英社 スーパーダッシュ文庫
〜醜悪祭〜 (下) /片山憲太郎

うわっ、また、なんという引きっ!! あざといっ!! まあ、これはこれでアリかな。次巻がすげー楽しみっ!!

悪宇商会の最高顧問・星噛絶奈の圧倒的な力の前に、絶体絶命の真九郎。というのが、前巻のラスト。……あ、あれ? なんだか、うやむやのうちに生還してるんだけど(^^;、まあ、それはそれでいいか。今巻は、敗北から立ち上がり再び死地へ、という少年漫画的な王道展開っ!! いやぁ、面白かったです。やっぱ、紫、いいよな。<をい。ただ、立ち上がるまでが、ちょっと説明が弱く描写が薄いのが残念。どうせ、ページ数がペラペラなんだから、もっと描写を厚くして、ページ数を稼げばいいのに。あと、決着がついていなくて、ぜんぜん下巻になってないのは、構成としても売り方としても、やっぱ、大失敗な予感。素直に“(中)”としとけばいいのに。もったいない。

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エンターブレイン ファミ通文庫
BLOODLINK 雪花<下> /山下卓

まあ、無事に完結したことは良かったかしらん。ただ、「なるほど、こういうことになってたのかー」という驚きと、ある程度納得できる説明はなされてるんだけど、結局、なにかストーリーが進行するわけではなく、結末をつけるための説明に終始してるだけだからなー。小説としては、いまいちだと思う。

そゆわけで、『BLOODLINK』最終巻。物語自体は、『果南の地』(→Amazon)へ続く、ということみたいだけど、『果南の地』は未読なんだよな。……それにしても、もともとこのシリーズって、ベタに泣けるあざといシチュエーションを作るために、ムチャな設定を持ってきてるのかと思ったのだけど、シリーズ後半は、そのどうでもいい設定を説明することが中心になってしまい、げんなり。私は、説明をして欲しかったわけじゃなくて、和志とカンナの感動的なラストシーンが見たかったんだよっ!! というのが正直なところ。ストーリーが決着したことは評価できるんだけど、期待とはかけ離れていて、かなりガッカリです。

[ BLOODLINK ]


エンターブレイン B's-LOG文庫
死神姫の再婚 ―薔薇園の時計公爵― /小野上明夜

死神姫と呼ばれる天然少女・アリシアが繰り広げるドタバタラブコメのシリーズ第2弾。今回は、夫のカシュヴァーン様とともに、前領主で時計公爵と呼ばれるアズベルグ公爵家を訪問することに……。と、あれ?序章の伏線は、どこに(^^;。次巻以降かな? まあ、王道的で安心して読める展開は、相変わらず Good。そして、アリシアの天然というより白痴な凶行は変わらず(笑)。今後は、カシュヴァーンの悩みと<翼の祈り>教団との対決を軸に展開していくのかしらん。……展開は普通に面白いんだけど、いまひとつ物足りないのは、男性キャラに比べ、女性キャラがいまいち魅力に欠けるのよな。やっぱ、そこら辺は女性向けなんだよなぁ。

[ 死神姫の再婚 ]


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