[ とっぷ ]  [ 最新 ] [ GAME ] [ BOOK ] [ 前月 ] [ 次月 ]

好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!! −2008年5月に読んだ本



エンターブレイン ファミ通文庫
“文学少女”と神に臨む作家(上) /野村美月

ぐはっ、なんという、ドロドロとした愛憎劇っ!! ……それにしても、ななせ、可愛すぎるよ、ななせ。うきゅ〜〜〜。

そゆわけで、シリーズ、ラストエピソード。ななせと付き合いはじめた心葉。そんな心葉から身を引こうとする遠子。そして、遠子を想う流人は、ななせと心葉の仲を裂こうと画策をはじめる……。と言う感じで、ななせの可愛ゆさと、心葉のヘタレさが目立つ話でした。ああもう、とにかく、ななせがいじらしく、不憫すぎる〜。ほんと、可愛いよ、ななせっ、琴吹さんっ!! そして、心葉は死んでいいよ。<をい。……遠子の両親の謎も良いエッセンスになっていて、最終巻となる下巻が非常に楽しみ。心葉、ななせ、遠子先輩の恋の行く末は? あと、キーを握っていそうな麻貴先輩は、どこいったっ!!

[ “文学少女”シリーズ ]


角川書店 ビーンズ文庫
彩雲国物語 黎明に琥珀はきらめく /雪乃紗衣

やっと、物語の全体像というか、ラストの形が見えてきたよっ!! 今回は、起承転結でいえば、“転”に当たるのかしらん。いやぁ、ラストへ向けての大枠での準備はほぼ完了し、いよいよストーリーも大きく動き出した予感。まあ、まだまだラストまでは紆余曲折があるんだろうケド、続きがめちゃくちゃ楽しみですっ!!

そゆわけで、陸清雅の手により投獄された李絳攸。秀麗は、絳攸の弁護のために捜査を開始するが……。というわけで、楸瑛に続いて、絳攸が自分の身の置き方を決める話なんだけど、わりとそこはどうでも良くて<をい、それよりも、彩七家のいくつかの家は大きく動きを見せ、縹家の位置付けが明らかになり、そして、秀麗の倒すべき敵が明確化されると、ほんと、ダイナミックに動き出したストーリーが、すげー楽しみだわ。……出来れば、このテンションのまま、ラストまで畳み掛けてくれればいいんだけどなぁ。

[ 彩雲国物語 ]


小学館 ガガガ文庫
とある飛空士への追憶 /犬村小六

最高傑作級。ある飛空士と次期皇妃との、たった数日間の恋の物語。いやもう、王道に徹したストーリーが、とにかく素晴らしい、素晴らしい。

戦況の悪化により、本国から切り離され敵の侵攻の危機にあるサン・マルティリア地方。傭兵飛空士シャルルは、サン・マルティリア地方に残された次期皇妃ファナを乗せ、敵陣を突破し本国までの12千キロに渡る単機翔破を命じられる……。と、徹頭徹尾、王道に徹したストーリーの上で、精緻に組み立てられた構成と臨場感溢れる空中戦。むちゃくちゃクオリティの高い内容に仕上がっていて、ホント素晴らしい。堅苦しい貴族生活により自分を殺して生きていたファナが序々に本来の自分を取り戻す様子、互いに惹かれあい身分の違いと来る別れに葛藤する二人、それらが、ほんと計算されて無駄のない構成の中で魅せられていて、ホント秀逸。そして何より、特筆すべきはラストで、ほんと、ラストが素晴らしいのよ。いろいろと想定される結末の中で、これ以外は考えられないように感動的なラストシーン。いやぁ、物凄く感動的で、マジに良かった良かった、素晴らしかったぁ〜〜っ!!

[ とある飛空士への追憶 ]


ホビージャパン HJ文庫
カッティング 〜Case of Mio Entanglement〜 /翅田大介

チープな恋愛モノになってしまい、がび〜〜ん。まだ、前半のラブラブな部分は良かったのだけど、後半は、無理やりラストシーンを書きたいだけみたいな内容。心情描写も表面的にしか描けてなくて、もう、ガッカリですよ。

そゆわけで、クローン技術と脳情報のバックアップ技術の組み合わせにより、実質的な不老不死を目指した技術―B.R.A.I.N.complex。その B.R.A.I.N.complexにより生き返った少年少女の心の傷を描いたシリーズ第三段。今回は、一巻のミオとカズヤのカップルのもとに、B.R.A.I.N.complexを知る少女・葛峰昴が近づいてきて……。

と、元々、このシリーズは、中二病的で青臭い中に、きちんと練られた設定と構成があって、そのアンバランスな尖がった部分が良くも悪くも魅力的だったのだけど、そういう尖がった部分はほとんどなくなってしまっていて、単なる出来の悪い恋愛モノになってしまっているのが、とにかくガッカリ。……今回は、次巻以降のためにラストの状況が作りたかっただけ、という内容なんで、まあ、次巻次第ではあるんだけどさぁ。

[ カッティング ]


富士見書房 ドラゴンブック
ソード・ワールド2.0リプレイ 新米女神の勇者たち(1) /秋田みやび/グループSNE

TRPGのリプレイを読むのは、はじめてです。……ごめんなさい、読み物としてどこが面白いのか、全くわからないのですが(汗;。

SW2.0のシリーズ1作目ということで、前提知識ナシでも読めるかしらん?と思ったのだけど、いやもう、とにかく素人お断りな内容なんですよ。一応、『ロードス』『クリスタニア』辺りは、多少は読んでたつもりだったのだけど、おそらく、TRPGのお約束を知ってないと、非常にツライ。さっぱり面白さのツボがわかりません(^^;。……思った以上に小説とは別モノで、普通に小説を読むように読んでもさっぱり面白くない予感。や、あくまでプレイすることが前提で、ルールブックを片手に自分でプレイすることを想定しながら読むのが正しいのかしらん? ていうか、リプレイ買うなら、その前に、ルールブックを買うべきだったような(汗;。

[ 新米女神の勇者たち ]


文藝春秋
恐竜はなぜ鳥に進化したのか 絶滅も進化も酸素濃度が決めた /ピーター・D・ウォード

持論を強調するあまり、かえって説得力がなくなってる件。いや、サブタイトルの“絶滅も進化も酸素濃度が決めた”というのが、この本の語らんとするところなのだけど、それこそ、なんでもかんでも、酸素濃度のせいにしているので、「それは、どこのトンデモ本か『MMR』ですかっ!!」というノリに(笑)。本来は、真面目な本のハズなんだけどなぁ。

そゆわけで、カンブリア爆発から現代までの 6億年の進化の歴史を、酸素濃度の変化という観点から捉え直したもの。なんというか、恐竜と鳥類の関係について語っているのは、全11章中、たかだか1章しかないのに、あまりに酷いタイトルだ(笑)。ネタとして面白かったのは、むしろ動物の陸上進出の辺りだったりしたので、恐竜を強調するのは、ちょっとないだろ〜。内容的にも、いろいろな仮説を取り上げるのはいいのだけど、整理も取捨選択せずにてきとーに取り上げてる感じが強いのと、あと、ちょっと怪しめの仮説まで持ち出してまで酸素濃度に固執しすぎている感じがするのが、どうにも。

以下、簡単にメモ。

  • 過去 6億年のうち、地球の酸素濃度は、12%〜35%の間で大きく変動している
  • 生物の大規模絶滅は、酸素濃度が低い時期に発生している
  • 動物の多様性と酸素濃度の間には相関関係があり、高い多様性がみられるのは高酸素濃度の時期
  • カンブリア爆発の進化の多くは、かつて言われた運動能力や捕食といった観点だけでなく、より効率的な酸素の獲得の結果として説明できる
  • 動物の陸上進出は、高酸素濃度が不可欠(進化途中の肺では低酸素濃度を生き残れないため)。最古の陸上生物は4.1億年前に現れ、3.7億年前のデボン紀の大絶滅の洗礼を受けた後、3.3億年前辺りから再度進出という経過を辿るが、これは、4.1-4.0億年前の高濃度の状態から3.7億年前には12%まで急激に低下し、その後、3.0億年前まで急激に上昇した酸素濃度のカーブと一致する
  • 2.5億年前のペルム紀の大絶滅は、火山活性化による二酸化炭素放出→温暖化&酸素濃度の低下→硫黄代謝細菌の増殖→有害な硫化水素濃度の上昇、という流れの結果
  • 2.5-2.4億年前の三畳紀前期は、酷い低酸素濃度が続き、この間に低酸素に適応した哺乳類と恐竜の祖先が現れる。哺乳類は横隔膜を、恐竜は二足歩行を獲得した(四足歩行は、歩行中に肺の圧迫を引き起こし、呼吸を阻害してしまうらしい)
  • 恐竜は、竜盤類と鳥盤類の二つに大きく分類できる。竜盤類は、鳥類が持つ気嚢システム(哺乳類の2倍の呼吸効率のあるシステム)も獲得していた。一方、鳥盤類は気嚢システムを持っていないため低酸素耐性が弱い
  • 三畳紀末(2億年前)に、酸素濃度は12%まで低下し、再度、大絶滅が起こる。低酸素に強い耐性を持つ竜盤類恐竜は、低酸素に影響されることなく生き残り、続く大恐竜時代を生む
  • 恐竜が誕生した三畳紀後半からジュラ紀中期までの長い間、低い酸素濃度のため恐竜の多様性は抑えられていた。いろいろな種類の恐竜が出てくるのは、十分酸素濃度が高くなったジュラ紀後半以降
  • 酸素濃度の上昇に伴い、低酸素耐性の強い竜盤類は減り、低酸素耐性は弱いものの捕食能力が高い鳥盤類が増えていく。また、大型化もガンガン進む
  • 哺乳類の台頭が恐竜絶滅を待つのは、少なくとも高温&低酸素の時代(三畳紀後半〜ジュラ紀中期まで)は、恐竜に比べ低酸素耐性や温血といった点で、不利だったのが原因
  • 哺乳類が胎盤システムは一定以上の酸素濃度が必要。哺乳類が胎盤を獲得したのは、高酸素濃度となった白亜紀後期

[ 恐竜はなぜ鳥に進化したのか ]


メディアワークス 電撃文庫
ダブルブリッドX /中村恵里加

感無量。これ以外、ありえないようなラストだよなぁ。そしてやっぱり、安藤さんの可愛いこと可愛いこと。

“童子斬り”に精神も身体も支配された山崎太一朗、“主”の策略により記憶を失い身体のコントロールを喪いつつある片倉優樹。いま二人は、互いに相手を殺そうと対峙する……。すでに、なにもかもが手遅れで、哀しい結末しか望むべきもない状況で、前巻から4年半、いよいよ待ちに待った最終巻。いやぁ、途中は無理やり纏めに入ったような、駆け足な感じもしたけれど、これ以上ないラストだなぁ。ひたすらと哀しく綺麗。ホント、言葉にならず、ただただ感無量としか言いようがない。感動。

[ ダブルブリッド ]


メディアワークス 電撃文庫
龍盤七朝 DRAGONBUSTER 01 /秋山瑞人

その設定で、主役は爺じゃないんかいっ!! てっきり、すでに老いの目立つ剣の達人・群狗が主人公かと思ったら、どうも、お転婆な姫様の方が主人公らしく、ガッカリですよ。

第十八皇女・月華は、お転婆盛りで、屋敷を抜け出し街中を探検する日々。そんなある日、道場の下男・涼狐が、夜に隠れて剣を舞う姿を見て……。というわけで、秋山瑞人の久々の新刊。あとがきなどを見ると、古橋秀之とのコラボ作品? 中華風世界を舞台にした、剣と漢の生き様を描いた作品かと思いきや、主人公が姫様の方でがび〜〜ん。どう見ても、爺さんの方が、かっちょいいだろっ!! ……まあ、この 1巻は、ほんとに導入のほんの触りしか描かれてなくて、ストーリーはまだまだこれからだし、今後に期待だなぁー。あと、もう少しストーリーが動いてくれないと、月華と涼狐の今の立ち位置は、ストレスが貯まって仕方ない(^^;。

[ DRAGONBUSTER ]


メディアワークス 電撃文庫
藤堂家はカミガカリ2 /高遠豹介

がはっ、デレですかっ、デレっ!! いきなりの春菜のデレ化に笑いが止まりませんっ!! ……だけど、1巻で出来が良かったコミカルな部分は、正直、低調。素晴らしかった1巻と比べると、いまいち感が漂うなぁ。

日本神話の原型になった異世界「ハテナシ」からの来た居候、神一郎と美琴、その二人に居つかれた藤堂家の姉弟、春菜と周慈。そんな4人の擬似家族を描いたシリーズ第二段。今回は、アフロな変な奴が持ち込んだアイテムで、藤堂家は大変なことに……。というわけで、騒動の核になる春菜を中心に、いやぁ、おもしろいおもしろい。デレ春菜さいこーーーーっ!! っと、ただ、前回良かったコミカルな部分は、今回低調で、その上、熱く、涙もあるハズのシリアスな戦闘シーンは、いかにも出来が悪い。どうにも、場面を盛り上げるための情報の置き方とか、緩急の付け方が下手なんじゃないかしらん。まあ、続く大きなストーリーへ向けての伏線は散りばめてるし、今後に期待ではあるかなー。

[ 藤堂家はカミガカリ ]


新潮社 新潮新書
オタクはすでに死んでいる /岡田斗司夫

「間違ってるのは世界の方だ!」と、一生懸命叫んでるような内容なんだよなぁ。そんなむちゃな姿勢で書かれてるので、ツッコミどころが多く、論旨がめちゃくちゃになってるのは残念。部分部分を見れば、おもしろくて感心する部分も多いのだけど……。

や、この本では結局、「最近は、オタク同士の仲間意識や連帯感がなくなってるよね」ということを指して「オタクは死んだ」と言っていて、それ自体はそんなに違和感のある話ではないのだけど、ただ、そこへ到る過程がすげー変なんだ。

つまり、作者が何故そう思うに到ったかというと、「最近の若者は“萌え”を追い求めるだけで、作者の知ってるオタクの必須教養に見向きもしてくれない」とか「オタクを極めた作者が、“萌え”を知らないだけでノケ者にされてしまう」と言った感じで、たんに、「最近、“萌え”とか理解できないし、疎外感を感じるんだ」と言ってるにすぎないのよ。そこには主観だけで客観的な評価のかけらもない。そして、そこからいきなり一般化して、「今はみんな、互いに理解が出来なくなって、連帯感とかなくなっちゃったよね」と言われてもなぁ。

仮に連帯感が喪失しているとしても、その原因として、例えば、「若者とは世代が異なるので、価値観が共有できない」とか「オタク文化は細分化してしまい、前提となる知識の共有もできない」という話なら理解できるのだけど、そういうのではなく、「“萌え”のように自分の好きなものにばかりこだわる人が増えて、連帯感がなくなってしまった」と結論付けてるの。それって、やっぱり無理があるよね。だって、“萌え”という言葉がなかった頃だって、ある種の思い入れや好きなものへの拘りがオタクの原動力であったのは変わってないのだから。そして、もともと、オタクの持つ連帯感って、「俺は眼鏡が好きだが、御主はポニテが好きとな」という感じの、それぞれ違う“好き”かもしれないけれど、互いに“こだわり”があるから生まれるもので、決して、作者の言わんとするような「嫌いなものでもこだわりなく、広く知識を共有するから生まれる」という類のものではないと思うんだけどな。

[ オタクはすでに死んでいる ]


ソフトバンククリエイティブ GA文庫
パラレルまりなーず /木野鋼一

さくさく読めて面白いです。オーソドックスなドタバタ系のラブコメですなっ!!

卯美と大地は、幼なじみで恋人未満。ある日、二人は異世界に呼び出され、悪の組織?に狙われる少女・まりなを助けることに……。という感じで、パラレルワールドをネタにしつつ、頼りない少年と勝気な少女を中心としたドタバタ系のラブコメ。一応、デビュー作らしいけど、作者の人は、もともとライターさん? 文章は書きなれてる印象で、さくさく読めて、Good。内容も、オーソドックスなラブコメとして、ふつーに面白いです。というか、良くも悪くも、“ふつー”。全体に、ベテランみたいに安定した作りで、酷い部分もない代わりに突き抜けた面白さがあるわけでもないのよね。好みとしては、もっと尖がってる方が、好きなんだけど(^^;。

[ パラレルまりなーず ]


中央公論新社 C★NOVELS Fantasia
ドラゴンキラー売ります /海原育人

すでに残された時間のない皇女派は、アルマ奪還に、ドラゴンキラーを4人も動員するような賭けに出る……。というわけで、アルマを巡る最後の戦いで、シリーズ完結。結局、ラストまで、あんまり好きになれないシリーズでした。<をい。や、ラストは予定調和的で綺麗、……なんだけど、そのラストに至る展開がちょっと不自然に感じるんだよなぁ。キャラクターが作者の都合で無理に行動しているような。いや、もともとキャラの性格が分裂していて好きじゃないので、たまたま、そう感じるだけかもしれないけど。

[ ドラゴンキラーあります ]


富士見書房 ドラゴンブック
ノエルと薔薇の小箱 アリアンロッド・リプレイ・ルージュ /菊池たけし

だはははははっ、おもしろいおもしろい。力丸乃りこ、さいこーーーーーーーっっっ!!

というわけで、先日、『ソード・ワールド2.0リプレイ』の感想 を上げた後、「アレはそもそも出来が悪いんで、他のリプレイを読むべし」という趣旨のご意見を多くいただきまして、その中でも比較的多くの方に挙げていただいた『アリアンロッド・リプレイ・ルージュ』を買ってみました。なるほど、これは、非常に面白かったです。

リプレイを読むのは、これで2作目なのでアレだけど、前に読んだ『ソード・ワールド2.0リプレイ』に対して、この『アリアンロッド・リプレイ・ルージュ』は、きちんとプレイしてる人が見えているのが、なにより素晴らしい。そして、TRPG初心者が一人混ざっているためか、説明も多くわかりやすいのも Good。TRPG初心者で声優の力丸乃りこ嬢を中心に、4人のベテランゲーマーがサポートしながらゲームを進めるという内容なのだけど、あくまで、初心者の力丸乃りこや、GM の菊池たけし等が、いかに楽しんで遊んでいるかを、非常にわかりやすく書かれているのよな。

『ソード・ワールド2.0リプレイ』との最大の違いは、遊んでいる人を中心に描くか、演じてるキャラクターを中心に描いているかという点にあると思うのだけど、やはり、遊んでいる人を中心に描いている方が、読み物としては段違いに面白いと思う。まあ、力丸乃りこの魅力が大きいんだろうとは思うけど。素直で真面目で微妙にズレた性格がとにかく楽しいっ!! ほんと、いい性格してるわぁ〜〜。

といっても、『アリアンロッド・リプレイ・ルージュ』の方は、どういう世界観のゲームなのかは、さっぱり伝わってこないので<をい、ここら辺は、目的の違いなのかしらん。たぶん、どういう世界観のゲームで、どういう遊び方が出来るのか、みたいな部分は、『ソード・ワールド2.0リプレイ』のような書き方のほうが伝わるんだろうな、とは思ったりしました。

しかし、『アリアンロッド・リプレイ・ルージュ』にしても、実際のプレイが佳境になってくるにつれて、つまらなくなってくるのはどうよ(笑)。プレイ進行時の会話よりも、変に脱線したり、どうでもいいような会話の方が、面白い予感。いや正直、リプレイという形式にするより、TRPGをネタにしたトーク集でもした方が面白いんじゃないだろうか(^^;。

[ アリアンロッド・リプレイ・ルージュ ]


早川書房 ハヤカワ文庫
幼年期の終り /アーサー・C・クラーク

たまには、と古典に手を出してみました。アーサー・C・クラーク追悼&2008大学読書人大賞という話もあったので、『幼年期の終り』を。発表は1953年か。ちなみに、スプートニクが 1958年なので、米ソの宇宙開発時代の前なのな。いまから、50年以上前にこれが書かれたというのは、めちゃくちゃ凄いな。

そゆわけで、人類が宇宙進出を果たそうとしたまさにそのとき、巨大宇宙船団が空を覆う。彼らは、善意あふれる態度を示しつつ、最小限の干渉を持って人類を導き始めるが、その真の目的は隠したままだった……。という感じで、ファーストコンタクトから人類の精神的な進化までを、三部構成で書かれているのだけど、最後の第三部が無茶すぎる(^^;。

ホント、これが 50年以上前に書かれたというのは凄すぎる。今読んでも、全く色褪せてないし、十分面白い。ただ、第三部は、ちょっとぶっ飛びすぎだ。正直、B級なセンスのように思えて、“古典”という評価と、すげー違和感あるんですが。これが SFのスタンダードという話だとすると、私には、SFは理解できない予感(^^;。なんで、お前ら、みんなして踊りだすんよ(笑)。

[ 幼年期の終り ]


一迅社 一迅社文庫
零と羊飼い /西川真音

うわぁ、あざとい、あざとすぎる設定だっ!! そして、後半は、いかにも西川真音らしい展開っ!! ……ただ、ゲームでやると面白い構成なんだろうけど、小説の形式だと、ちょっと物足りなさを感じるかなぁ。

巨大隕石の接近により、地球は滅亡の危機にさらされていた。地球を救う唯一の手段は、異能者の生命を犠牲にする方法のみ。地球のために自分の生命を捧げる必要があると集められた少年たちは、残りの数日をどう生きるのか……。という感じで、もともとは、工画堂スタジオのゲーム『羊の方舟』が原作らしいのだけど、そちらは未プレイ。原作を知らなくても、あまり問題は感じなかったけれど、ただやっぱり、全体に説明不足な感は否めないかな。あと、物語の構造も、ゲームらしさを多分に残したものなので、そこも残念。

や、どうにもマルチエンド前提のシナリオなのよね。トラウマに立ち向かいつつ愛を確認する的な前半は、非常にせつなく暖かくて良かったし、そして、核心に至る後半の構成も非常に面白い。だけど、マルチエンドじゃないので、前半の雰囲気は中途半端なまま後半戦に突入。後半の構成も、エンディング→再スタートの過程がないと、どうにも、演出的に限界が……。やっぱり、こういう話を一本道でやられると、きちんとおもしろいだけに、いろいろ残念なんだよな。まあ、こういう構成の話は、もともと西川真音の持ち味みたいなもんだと思うので、仕方ないんだろうけど。

[ 零と羊飼い ]


一迅社 一迅社文庫
ある夏のお見合いと、あるいは空を泳ぐアネモイと。 /朱門優

日輪といえば、[TVA]『ダイターン3』を思い出します。……それはともかく、むちゃくちゃ綺麗だっ!! 感動で泣けます。もうっ、最高傑作級ぅ〜〜。

そゆわけで、[WIN]『めぐり、ひとひら。』(→感想)や [WIN]『いつか、届く、あの空に。』(→感想)の朱門優がライトノベルデビュー。幼なじみの巫女少女・いちこ の犬として生きる日輪は、夏休みの初日に、その幼なじみの いちこ から「お見合い」を申し込まれる……。という感じで、穂積之宮神社の行う祭りの中の行事「お見合い」を中心とした、ちょっと不思議な、そして、綺麗で暖かいお話。

や、正直前半は、キャラのやり取りは楽しいものの、主人公のあまりの朴念仁さ加減に辟易してたりもしたのだけど(^^;、特筆すべきは、後半。いやぁ、むちゃくちゃ綺麗なのよ。あふれ出る長年抱いてきた いちこ の想い。アネモイの想い。二人の純粋な想いが、とにかく涙腺を刺激するのよ。そして、かつての自分を取り戻していく いちこ と日輪。前半でもやもやと感じていた部分が、伏線と共に、綺麗に回収されていく様も素晴らしい。いや、ちょっとアネモイが喋りすぎかしらん(^^;。……ほんと、綺麗で純粋な想いを、見事に描ききった作品。非常に面白かったですっ!!

[ ある夏のお見合いと、あるいは空を泳ぐアネモイと。 ]


一迅社 一迅社文庫
死図眼のイタカ /杉井光

4姉妹萌え小説じゃないのかぁ〜〜。……出来は悪くないと思うのだけど、好きではないなぁ。

旧家・朽葉嶺家にて、将来のお嫁さん候補である4姉妹と共に暮らすマヒル。そんな4姉妹との関係に悩むある日、マヒルは、不思議少女・イタカと出会う。……という感じの出だしだったったので、てっきり萌え小説かと思ったら、連続殺人と呪われた旧家といった展開で、がび〜〜ん。まあ、好みを除けば、よく出来た王道的伝奇モノといった風で、十分、面白かったです。でも、どうせ、こういう展開だったなら、もっと後味悪く終わった方が良かったような。<をい

[ 死図眼のイタカ ]


メディアファクトリー MF文庫J
ゼロの使い魔14 水都市の聖女 /ヤマグチノボル

ほんと、最近の『ゼロの使い魔』は素晴らしい。予定調和でベタで王道、だからこそ、感動的で泣けるストーリー。まあ、せっかくのネタを、たった 1巻で回収しちゃうの? とは思ったりもするけど、それも、『ゼロの使い魔』らしいか。

サイトが元の世界に返り沈むルイズ。そして、サイトがいないまま、ガリアとの戦端が開かれる……。とりあえず、121ページのタバサのイラストが俺ツボ。ストーリーの方も、期待する場面で、きちんと、期待するように展開するのは、ホント、素晴らしいな。とにかく、第九章以降は、めちゃ素晴らしい。ラストもあざとすぎて、素晴らしい。そして、相変わらず素晴らしいルイズでした。

[ ゼロの使い魔 ]


メディアファクトリー MF文庫J
かのこん10 〜おわりのはじまり〜 /西野かつみ

エロくねぇーーーーーっっっ!!<をい と、そういうわけで、「葛の葉」に捕らえられた ちずる。耕太と望は、「御方さま」の静止を振り切り、ちずるの救出に向かう……。という感じで、『かのこん』にしては、シリアスで燃える展開が中心なんだけど、それにしては、のほほんとしていて、やけに軽く感じてしまうのは、良いことなのか悪いことなのか微妙だなぁん(^^;。まあ、出来は悪くはないと思うのだけど、エロが少ない『かのこん』は、やっぱり物足りないと思う(笑)。

[ かのこん ]


集英社 スーパーダッシュ文庫
初恋マジカルブリッツ 世界でいちばん君が好き! /あすか正太

エロエロなのはいつものことだけど、コンドームなしで中出し推奨って、……マジに、ライトノベルですか(^^;。

そゆわけで、祈梨のポジションを奪おうとするフランシスカ。対抗するアルミナは、鼓太郎と祈梨の絆をもっと深めようとするが……。いやもう、良くも悪くも頭が悪く下らない。さっぱり中身らしい中身がないんだよなぁ。面白いことは面白いのだけど、いい加減ダレてきたので、そろそろ終了してもいいんじゃないかしらん。

[ 初恋マジカルブリッツ ]


[ 前月 ] [ 次月 ]