だははははははっ、おもしろいおもしろい。ドラゴンマガジン連載分を収録した生徒会シリーズ番外編。といいつつも、そもそも、本編も連作短編なので、面白さは変わらず。いや、好み的には、番外編のほうが好みかな。番外編のみに登場するキャラたちが、すげー、いい味出してるなぁ。宇宙姉弟さいこー。林檎かわいいーー。第一話の無茶な話や、中目黒の話も、いやぁ、大笑いで堪能しました。すげー、おもしろかったぁ〜〜〜。
[ 碧陽学園生徒会議事録 ]
お兄ちゃん離れできないニルフィリアは面白かったし、レギオス世界の創生を描いたりしてる部分は、まあ、興味深かったけれど、……小説としての出来は、やっぱ、酷いと思うぞ。や、とにかく説明が足りない上に、チープなストーリー展開。それにそもそも、これだけ粗の多い設定にもかかわらず SF 的に描かれるのは、無理があると思う。
『鋼殻のレギオス』(→感想)の前世譚シリーズの最終巻。「なぜ、都市が自ら闊歩する不思議な世界になったのか?」ということに対する回答になってるんだけど、う〜ん、雨木シュウスケって、そもそも無茶な設定を、「そういうことになってます」で押し切るタイプの作者じゃないの? 下手に説明されたも、むしろ説得力がなくなるだけなんですがー。そして、ほんとに説明が下手なんだ。そもそもやっぱり、キャラクター小説ならともかく、SFとして描くには、設定そのものが粗が多すぎて、説得力がなさすぎると思うんだけどなー。
それにしても、この作品って、『鋼殻のレギオス』よりも、もっと中高生向けにターゲット層を絞ったような内容だと思うんだけど、なぜにファンタジア文庫ではなく、単行本で出してるのかも不思議だよなー。
[ レジェンド・オブ・レギオス ]
過去と現在の物語を綺麗に纏め上げた、とにかく素晴らしいエンディングでした。ただただ感動っ!!
アンガスと愉快な仲間たちは、異変の起きたバニストンの地へ。世界の滅亡を望むレッドとの最終決戦がいよいよはじまる……。というわけで、過去の物語を織り交ぜながら進む姫とアンガスの物語もいよいよ完結。正直、アンガスの絶望をはじめとして、圧倒的に心情描写が足りないと思うんだけど、それを差し引いても、とても綺麗に纏め上げられたラストでした。ほんと、泣けるほどに感動。とにかく、精緻に計算された構成が素晴らしいなぁ。過去と現在の物語が交錯しつつ、一つに収束する構成は、めちゃくちゃ秀逸。ほんと、素晴らしい物語で、素晴らしいという言葉以外、出てこないよっ。
[ 〈本の姫〉は謳う ]
岡崎裕信の過去の作品と比べて、やけに丸くなって、読みやすくなってないっ!? ……好き嫌いはあるんだろうけど、私にとっては、正直物足りないなぁ〜〜。
自分を悪魔と思い込んでいる中二の少年・相馬逢司は、クラスメートたちの笑顔を守るため、日々戦い続ける……。という感じで、自分を悪魔と思い込み、自虐的に自己犠牲を繰り返す主人公が、なんとも切ない作品。ただ、連作短編形式のためか、どうにも薄っぺらい印象になっちゃってるのがなー。そして、岡崎裕信の過去作品にあったような、荒削りな情熱が感じられないのも残念。以前と比べて、軽くさくさく読めるようになった感はあるんだけど、私的には、やっぱり、これではどうにも物足りないなぁん。
[ アクマ・オージ ]
エロスとバイオレンスぅっっっ!! コメディ寄りの作品も多い神野オキナの中では、この作品は、ガチにシリアス。戦場での残酷で容赦ない描写と展開が素晴らしい。そして、エロだっ!! エロエロだっ!!
紛争地域での邦人救助を生業とする主人公・見荻守央。豊富な資金と卓越した戦闘能力を背景に、単独で死と隣り合わせな戦場を駆る……。という感じで、全体としては、いつもの神野オキナらしさを感じさせつつも、エロスとバイオレンスを中心に置いた80年代のライトノベルを彷彿とさせるような内容。ビバっ、80年代っ!! や、神野オキナの作品の中では、シリアスなほうが好きなんだけど、これはほんとに素晴らしい。なかなかに、えげつない展開だよなぁ。靴を拾い上げる部分の描写とかは、かなり好き。そして、続く下巻はどうなるんだろう。
[ リカバイヤー ]
雑賀孫市との決戦。そして、松永久秀の裏切り……。明智光秀視点なので、どんどん本能寺へのフラグが立ちまくりなのが、楽しすぎるっ!! その一方、主人公のハズの小平太の影が薄いこと薄いこと。はじめから、明智光秀を主人公にすればいいのに。
そゆわけで、信長秀吉の時代に巨大ロボットを持ち込みつつ、史実をできるだけ改変しないアプローチの本作。やっぱり、アプローチの方法が一緒なので、川原正敏の[漫画]『修羅の刻』を彷彿とさせるよなぁ。でも、歴史小説としての部分に比べ、ロボットに関する部分の描写が明らかに数段劣るので、そこはどうよ。対平蜘蛛戦の秘策の描き方とか、あまりにおざなりなんだよなぁ。いや、正直、ロボットいらねんじゃね? と思わなくもない歴史小説ぶりですよ。今回敵役の松永久秀をはじめ、明智光秀、豊臣秀吉、竹中半兵衛等々、キャラがいい味出してるよなぁ。
[ 天魔の羅刹兵 ]
フィノ怖いよフィノっ!! ヤンデレ! ヤンデレ! とにかく、ヒロイン役のフィノの黒さが目立つ、……というか、フィノの黒さしか記憶にないよっ!!
連れ去られたイリアード姫を救うため、王都を目指すセロたち。王都の手前の街・トラファードに立ち寄った一行は、セロの師匠・アネットと出会う……。という感じで、セロの師匠が、ふつーに若い女性であるという驚愕の事実っ!! そして、アネット登場で、いっそう燃え上がるフィノの嫉妬心っ!! いやぁ、一応、西天将・ルナスティアとの決戦間近というのに、のほほんとした雰囲気で、なんだか緊張感がないのはどういうことだろう。これでは、連れ去られたイリアード姫の立場は(笑)。いやもう、マジに、フィノが素晴らしいなぁん。
[ 輪環の魔導師 ]
めめこのゆりんゆりん具合が楽しいことにっ!!(笑)。いやぁ、めめこと亞衣のあまあまラブラブが、楽しい楽しい。……っていうか、いっそ、秘密組織とかエージェントの設定はなくして、学園百合モノに徹してくれればいいのに。
特殊な眼鏡を回収する秘密組織《アルハゼン》のエージェント・めめこは、仲良くなった亞衣の眼鏡を買いに街に出かける……。というわけで、“眼鏡”に関する変なコダワリも健在。めめこの亞衣に対する変態さ加減も楽しいことになっていて、いやぁ、おもしろい。まあ、相変わらず、眼鏡っ娘萌え的な要素はないけどな(^^;。……ただ、バトルは正直いらねんじゃね? めめこと亞衣の絡みはふつーに楽しいのだけど、アルハゼン絡みの話は展開にも無理があり、出来自体が数段劣る。変に事件を起こさずに、単に、二人が眼鏡を買いにいく話で良かったんじゃないかなぁ〜。
[ 彼女は眼鏡HOLIC ]
オールキャスト揃い踏みで、いよいよ大気制御衛星の謎へ。くうぅぅぅ〜〜〜〜〜っ!! と、相変わらず、面白いんだけど、ただ、ちょっとストーリー展開は、強引で無理があるよなー。どうにも、作者の意図通りに状況を作ろうとするあまり、突っ込みどころ満載になってる予感……。
賢人会議とシティ・シンガポールが、同盟に向けて会談を行う。会談の場所は、シティ・ロンドンの勢力圏にある北極。その北極には、大気制御衛星に纏わる秘密が眠っていた……。というわけで、シティ・ロンドン所属のエドとファンメイも、『賢人会議』絡みの対立に本格参戦。オールキャストが敵味方にわかれて戦闘、というのは、前回の『再会の天地』同様なんだけど、ただ、すでに互いに傷つけないこと前提みたいになっているので、ちょっと間が抜けてるよなー。
それにしても、あの展開では、雲上航行艦の立場はいったい(^^;。や、大気制御衛星と魔法士の謎にも、かなり近づいてきているようにみえるのだけど、そろそろクライマックスなのかしらん?
[ ウィザーズ・ブレイン ]
やっぱり、キズナの話よりも、華乃子の話のほうが好きだなぁ。第2話「パパはわたしたちのHERO」が、素晴らしくステキでした。華乃子とパパのお話も、これで一つの決着かぁ。そして、第5話「聖夜、シナプスの宇宙で」での華乃子やパパたちのその後も、非常に良かったです。やっぱり、壁井ユカコの筆力の高さと、この少女漫画的な内容は、ほんと素晴らしいなぁ。……次回最終巻ということで、鳥籠荘の変人たちにも、さまざまに訪れる大きな転機。ラストをどう綺麗にまとめて見せてくれるのか、今からもう、最終巻もめちゃくちゃ楽しみです。
[ 鳥籠荘の今日も眠たい住人たち ]
最高傑作級ぅ〜〜〜。ほんと読んでて、にやにやしまくりっ!! 恋に恋するツンデレ貧乳・麟音の可愛いこと、可愛いこと。どたばたラブコメとして、これ以上なく素晴らしいなぁ〜〜〜〜。
恋人の頃の記憶を失った麟音と悠太。失われた記憶を取り戻すため、二学期になってもイヤイヤ言いつつ、擬似的な恋人関係を続けるのだった……。という感じの中で、麟音のライバルで爆乳の持ち主、姫神美麗が参戦。やきもきする龍凰院麟音っ!! いやぁ〜、ライバル登場で、なおさらラブコメとして面白くなってきたっ!! とにかく、麟音は可愛いなぁ〜。……ただ、せっかく参戦した姫神美麗は、どうみても噛ませ犬でしかないのは、どうしたもんだろう。いや、そもそも陰湿で性格悪いのは、コミカルなやられキャラとしてはアリかもしれないけれど、明らかに、ラブコメのヒロインのライバルとしては失格だよね。なんで、こんなライバルにしてしまったんだ? もったいない。
[ 女帝・龍凰院麟音の初恋 ]
ツンデレさいこーーーーっ!! いや、光速LOVE寄せですかっ!! なにより、ツンデレなエリが、とにかくクラクラするぅ〜〜。そして、相変わらず、キリスト教をちゃかしたような、頭の悪い危険なネタが、笑える笑える。おもしろいぃぃ〜〜。
キリスト教ネタでメタ的に遊びまくってるシリーズ第二段。三位一体の一角、神の愛を伝える聖霊ホリィ登場で、さらにドタバタする佐倉家。そして、ペトロの生まれ変わりが聖少女エリとレマを狙う……。といった感じで、いやぁ、思わず、「杉井光、自重しろ!」と思えるぐらい危険なネタで遊びまくってる内容が、とにかく、おもしろいおもしろい。突き抜けてるなぁ〜〜。前巻では、擬似家族モノとしての要素が強かったようにも思えたのだけど、今巻では、ラブコメも強化されていて、そちら方面も愉快なことにっ!! ……そして、ラストの急展開。次巻が待ち遠しいぃ〜〜。
[ さくらファミリア! ]
アリスすげー、アリスすげー、アリスすげぇぇぇーーーーっ!! ……そして、いきなりアニソンを歌いだしたら、そりゃ、ビックリすると思うんだ。<ちげー
短編集最終巻。愛する人のために血族を裏切った古血・エリーゼを巡る一連の短編と、聖域で暮らしていた頃のジローとアリスのある日常を描いた書下ろしという構成なのだけど、その書き下ろしのアリスが、愉快で愉快でめちゃ楽しい。いやぁ、笑った笑った。そして、短編の最終巻ということで、本編のラストを暗示させるような内容になっているのも、しみじみとして良いね。むしろ、この短編集がどうこうというより、いよいよクライマックスに差し掛かっている本編の期待が高まる高まる。や、本編の続きが、とにかく楽しみですっ!!
大好きだった『暗闇にヤギを探して』(→感想)の作者、穂史賀雅也の新作。うーん、独特のセンスは健在なのだけど、いろいろもったいないなー。キャラの行動をはじめとして、ストーリー構成にしろ、設定にしろ、やけにちぐはぐな部分が多く、明らかに、作り込みが甘い予感……。
同級生の秘密を握ってしまった少年・犬伏ユージは、その可愛い同級生・井上ククルと、半強制的に結婚しなければならないことに……。という感じの、ハートフルラブコメ。や、ククル可愛いよ、ククル。いきなり可愛い同級生と結婚することになってしまったユージの戸惑いと、ユージに淡い想いを寄せるクルルの共同生活が、ほんと、ほのぼのと描かれていて、そこは、なかなかに楽しい作品。穂史賀雅也の独特のセンスも健在で、まったりしたハートフルラブコメとしては、面白かったです。
ただ、ユージの行動がいまひとつ定まってなかったり、使わない設定や伏線がどんどん出てくるわりに、肝心の説明がおざなりだったり、とにかく作りがちぐはぐで、明らかに完成度が低いのが泣ける(T-T)。や、もうちょっと内容を整理してから、出したほうが良かったんじゃね? とにかくもったいないなー。
[ オウガにズームUP! ]
はてブトルネードっ!! 著作が書評系ブログで取り上げられる→その書評がはてブに登録される→はてブ経由でAmazonで売り上げが増→Amazonランキング入りでさらに売り上げ増→最終的にはベストセラーに、なんてことがあったのかー。……自分の書いた本でそういうことがあったっ!! と言うことなので本当なんだろうけど、そこまで、書評&はてブに影響力があるかというと、にわかに信じられません(^^;。
と、作者の人の実体験を中心に本に纏わるアレコレを書いた内容で、ネタとして面白いものもあるものの、基本的には、ダメダメ。単に、思いつくままネタを並べてるだけのようにしか読めなくて、「誰に」「何を」訴えたいのか、さっぱりわからん。どうにも、目的もなくだらだらと書いた、悪い意味でブログみたいな内容なんだよねー。
それでも、作者の主張らしきものを纏めてみると大きく三点ぐらいあって、「ウェブもいいけど本&リアル書店には譲れない魅力がある」「ブログからはじめてゆくゆくは本を書いてみよう。本を出版すれば人生は豊かに」「日本の出版界はマーケティングが弱い。本を出すなら売り方も考えよう」という感じかしらん。……それにしても、「ブログを書いてれば、文章力も磨かれて、そのうち出版社から声が掛かるよっ!!」みたいな話はどうなんだろう。や、ちょっとした原稿依頼ならともかく、「本を出しませんか?」という話はかなり特殊だと思うし、そもそも、そんなに文章力ってアップするものかしらん?
[ 読書進化論 ]
決して、下手だったり面白くないわけではないのだけど、……微妙だ。唖然とさせられるような、わりと捻った展開にもかかわらず、読んだ後に印象に残るものがないんだよなぁ。どうにも、いまひとつ突き抜けたモノがないのよ。
貧乳好きの来摩久司は、気がつけば巨乳なクラスメートの鏡原奈結になっていたっ!! という感じの、ちょっと捻った男女入れ替わりモノ。や、いろいろ捻った内容なのに、可もなく不可もなし、コレと言ったモノがない、という感想しか抱けないのは、どうよ(^^;。いろんな要素を詰め込んではいるんだけど、ラブコメとしても、コメディとしても中途半端で、いろいろもったいないんだよなー。
[ 鏡原れぼりゅーしょん ]