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好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!! −2008年11月に読んだ本



メディアファクトリー MF文庫J
渚フォルテッシモ4 /城崎火也

ツンデレっ!! ツンデレっ!! 自分の恋心に気づかずにヤキモチを妬きまくる渚と、相変わらず、鈍感な大地が愉快愉快。……それにしても、戦闘とか魔の海とかは、作者の人もおざなりに扱ってるとしか思えないのだけど、もう、いらないんじゃね?

渚が芸能界デビュー。って、芸能界ネタは、ヤキモチを妬かせるためのツールにしかなってねーーーーっ!! いや、もうちょっとアイドルの方々が恋愛に絡んでくると思ったのだけど、完全に雑魚扱いで存在感がなさ過ぎる。さらに、存在感がないのがボスキャラ格のハズだった占い師。なんのために出てきたんだ、お前(笑)。酷い酷い。

しかし、芸能界ネタと占い師ネタは互いにリンクしてない上に、それぞれネタとしても弱くて、正直、この巻は、プロットレベルで失敗してるとしか思えないんだけど、それでも、渚のツンデレ具合が、楽しい楽しい、めちゃくちゃ楽しい。や、芸能界も魔の海もいらんので、渚と大地と朱里だけ、書いてくれればいいのにぃ〜。

[ 渚フォルテッシモ ]


幻冬舎 幻狼ファンタジアノベル
リカバイヤー[奪還者] 〜喪失れた女神〜 /神野オキナ

エロいっ!! エロすぎるっ!! 80年代のライトノベルを彷彿とさせるような、エロでグロでバイオレンスな内容だっ!! ……ほんと、シリアスな神野オキナは、むちゃくちゃ面白いなぁ〜。

内戦で治安が崩壊したムストー。亜神が闊歩し米国が暗躍する中、守央は、祭香を守りきることができるのかっ!! という感じなんだけど、いやぁ、エロいエロい。やたら濡れ場が多いっすよぉ〜。そして、残酷までに容赦ないなぁ。人が死ぬ死ぬ。素晴らしいっ!! ……ストーリー的には、米国&Kといい、皆同アカネといい、上下巻でここまで詰め込むのは明らかにムリがあって、少々破綻気味なのがもったいない。や、どうみても長編向きの内容なんだよなぁ。せめて、シリーズ化して続きが出ないものかしらん。

[ リカバイヤー ]


角川書店 スニーカー文庫
ダンタリアンの書架1 /三雲岳斗

寓話的なライトノベルとしては、王道。ていうか、むしろ凡庸? キャラもストーリーもそこそこ良いのだけど、あくまで、“そこそこ”なんだよなー。

口の悪い幼女・ダリアンたんと、頼りない青年・ヒューイが、幻書を回収しながら各地を旅する話。基本的には、ヒロインのダリアンたんと、ダークな雰囲気に特徴のある連作短編なんだけど、うーん、正直、キャラはスベってる印象が拭えなかったり、作者があとがきに書いてる“残酷な結末のダーク・ファンタジー”というほどには黒くないんだよね。や、作者がそういう部分を「売り」にしようと頑張ってるのはよく見えるんだけど、作者が狙ってるほど魅力的になってないのは、残念無念。決して詰まらなくはないんだけど、作者の人が頑張りどころを間違ってるような、そんな印象の作品でした。

[ ダンタリアンの書架 ]


講談社 講談社文庫
『アリス・ミラー城』殺人事件 /北山猛邦

るーは可愛いんだけど、萌え的に楽しむには、ちと弱いかなー。……ていうか、先日のオフ会で話題になってた気がしたので、手にとって見たのだけど、やっぱりミステリはどこが面白いのか、さっぱりわかりません(^^;。そもそも、過去のミステリ作品や、『鏡の国のアリス』を知ってることが前提のような構成なので、まあ、『鏡の国のアリス』はともかくとして、正直、濃いミステリファンじゃないと楽しめないんじゃないかしらん?という印象でした。

[ 『アリス・ミラー城』殺人事件 ]


メディアワークス 電撃文庫
ダブルブリッド Drop Blood /中村恵里加

安藤さんが獣姦っ!! 獣姦っ!! 獣姦っ!! 獣姦っ!!

それはともかく、本編はすでに完結している『ダブルブリッド』の、後日談を含む短編集。いやぁ、せつない、とにかくせつない。直接的な後日談となる「続いた世界のある顛末」だけでなく、他の短編も 優樹のいない せつなさを演出した作品が多く、泣ける泣ける。決して、蛇足になることなく、いい意味で余韻を感じさせる素晴らしい短編集でした。その中でも、特に、太一朗と未知、大田とのやり取りが、もうこれ以上なく、せつなく、力強く、ただただ泣ける。……“だから、死ぬまで生きていこう。死にたい死にたいって思いながら、生きていこう”。

[ ダブルブリッド ]


メディアワークス 電撃文庫
とある魔術の禁書目録SS(2) /鎌池和馬

全部で22編、1編10ページ足らず。いや、それぞれの短編が、ここまで細切れなのは、面白い試みだなぁ。といっても、どの作品も、盛り上がる前に終わってしまうようなところがあって、物足りないのは否めないかしらん(^^;。や、さくっと読める点は、悪くはないけど。

今回の短編は、本編のメインキャラはほとんど登場せず、脇キャラに焦点を当てたような内容だったのだけど、まさか、御坂、上条の両父母を、こんなに大きく扱ってくるとは思わなかったよ。そのうち本編にも絡んでくるんだろうけど、どうするんだろ〜。

[ とある魔術の禁書目録 ]


幻冬舎 幻狼ファンタジアノベルス
翼の帰る処 上 /妹尾ゆふ子

最高傑作級っ!! これは非常に出来の良いファンタジー。主人公が36歳の中間管理職というのも、私的に年齢や立ち位置が近いので、非常に感情移入できて素晴らしいのだけど、ただ、こんなオッサンが主人公というのは、ライトノベルとして、どうよ?(^^;

辺境に左遷されたことをいいことに、隠居しようと思っていたヤエト。しかし、突然やってきた皇女の副官に命じられ、その皇女と部下たちに振り回されることに……。という感じで、ファンタジー世界を舞台に、中間管理職の苦労を描いた作品。<をい。や、生真面目で自ら苦労を背負い込んでしまう主人公と、まだまだ幼い勝気な皇女、そして、野蛮人然とした北嶺の人々というキャラが、生き生きと描かれていて、その登場人物たちの悲喜交々が非常に楽しい。さらに、見え隠れするファンタジーらしい世界観と謎が、興味を引く引く。めちゃ、おもしろいぃっっっ!!

まだまだこれから広がる話だと思うのだけど、下巻で終わりなのかしらん? ぜひとも、シリーズ化して欲しいなぁ〜。

[ 翼の帰る処 ]


富士見書房 ドラゴンブック
ノエルと翡翠の刻印 アリアンロッド・リプレイ・ルージュ(2) /菊池たけし

禁句ネタに大笑い。やっぱり、力丸乃りこのキャラが、めちゃくちゃ立っていて面白いっ!! ……ただやっぱり、プレイが佳境になるとつまらなくなるのは、どうよ。や、そもそも本で読むより、ラジオドラマなり、CDなりでやったほうが面白いと思ったりして。というのも、面白さの種類としては、ラジオドラマに近いのではないかと思う。

[ アリアンロッド・リプレイ・ルージュ ]


ソフトバンククリエイティブ GA文庫
迷宮街クロニクル(1) 生還まで何マイル? /林亮介

最高傑作級っ!! 死と隣り合わせの迷宮探索に賭ける若者たちを描いた、非常に良く出来た群像劇。2003年の京都を舞台にリアリティある若者たちの描写、そして、迷宮探索であっけなく死ぬ探索者と、その死を受け止める周りの人々の描写が、とにかく素晴らしいっ!!

数年前に話題になったWeb小説『和風Wizardry純情派』を加筆修正し、一般小説化したモノ。Webサイトは、ここ か。Webサイトから内容を引用すると、“大昔に大流行したWizardryというアメリカのゲームの舞台を2003年の京都市にもってきたらどうなるだろう”というものです。や、話題は聞いていたのだけど、正直、Web小説には興味ないんで読んでませんでしたよ。

いやぁ、ホント素晴らしい。『Wizardry』は、昔 PC88辺りで遊んで、非常に思い出深いゲームなのだけど、それを 2003年の現代日本にすげー巧く落としこんでいて、Good Good。2003年というと、もう、5年前か。5年前というネットの描写は、古き良き時代を感じさせるよなぁ。そして、ミニストップをはじめ、それこそ2003年の京都という設定は、非常にリアルに雰囲気出してるし、当然、Wizの雰囲気を巧く利用してるのも巧いなぁ。そしてなにより、やっぱ、死に纏わる描写が非常に素晴らしい。や、次が中巻ということは、上中下の全3巻かしらん。もう、続巻もめちゃくちゃ楽しみですっ!!

[ 迷宮街クロニクル ]


メディアワークス 電撃文庫
神様のメモ帳 /杉井光

うわぁ、なんと痛々しく、それでいて綺麗なストーリー。序盤のフラグや伏線の立て方といい、キャラの見せ方といい、そして、綺麗な幕引きといい、とにかく素晴らしい青春ストーリー。せつなすぎる〜〜。

というわけで、私、『このライトノベルがすごい! 2009』の原稿で、杉井光をプッシュしてみたにもかかわらず、このシリーズは読んでいなかったので、今更ながら読んでみました。<をい。友人も作らず、一人根暗に生きていた少年・ナルミは、ひきこもりのニート探偵・アリスと出会い、ある事件に巻き込まれる……。という感じで、てっきり、ニート探偵の萌え小説かと思っていたのだけど、ぐはぁ、重い重いシリアスに重い。非常に真っ当な青春ストーリーなのな。いかにもな青春の痛みを描いた内容が、とにかくせつない。ストーリー構成やキャラの見せ方も素晴らしく、ほんと、非常に面白かったです。……で、こんなに綺麗に纏まった作品なのに、これで、続編あるのか。うわぁ、綾夏の扱いはどうなるんだぁ。

[ 神様のメモ帳 ]


メディアファクトリー MF文庫J
ねくろま。6 /平坂読

なんちゅう展開ですかぁーーーーっっっ!! や、全裸が売りなシリーズもいよいよ最終巻。物語後半の展開が、とにかく、すげーすげぇーーっ!! あそこから、きちんと話を纏めるかぁーーーっ!! そしてその素晴らしい大団円が、とにかく良かった良かったっ!! ……あとがきによると、後日談的にもう一冊か。どんなんだーーっ!!

[ ねくろま。 ]


メディアファクトリー MF文庫J
二人で始める世界征服 /おかざき登

面白い、めちゃ面白いっ!! ベタなラブコメ万歳っ!! そして、世界征服を目指すといいつつ、ほのぼのとした雰囲気が非常に和んで素晴らしいっ!! いやぁ、新人作品ということだけど文章や構成もダントツに出来もよく、ほんとに面白かったぁ〜。

MF文庫Jライトノベル新人賞 審査員特別賞受賞作。読書好きな主人公は、高校に入学して仲良くなった女の子に、勝手に体を改造されて世界征服を手伝うはめに……。という感じで、人のいい主人公・赤尾竜太と、日頃大人しい天然系ヒロイン・久喜島千紗、竜太の幼なじみで凶暴なツンデレ少女・片桐ありすを軸とした、ほのぼのとした雰囲気のラブコメディ。いやぁ、魅力的なキャラクターをきちんと生かした、ほのぼのと和む雰囲気と、王道的なラブコメ展開が、とにかく素晴らしい。文章や構成もきちんと安心できるクオリティで、ほのぼのしたラブコメが好きなら文句なくおススメできる良作。ほんとに面白かったぁ〜。

[ 二人で始める世界征服 ]


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