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好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!! −2010年3月に読んだ本



アスキー・メディアワークス 電撃文庫
ロウきゅーぶ!(4) /蒼山サグ

葵の空回りは愉快だったけれど、総じて、普通。や、そろそろキャラの関係性も固定化して、ストーリー上の波乱もなく、よく言えば、まったりしてきた印象。……もうちょっと、動きがないと、正直、物足りない予感も(^^;。

夏休み。県の強豪・硯谷と合同合宿。昴は男1人、女子校へ。という感じで、昴に対してロリ疑惑を抱く葵の空回りぶりは面白かったけれど、物語上はあまり大きな動きがなくて、決して、つまらなくはないのだけど、物足りないのは否めないかな。や、ラブコメ路線ともスポ根路線ともどっちつかずだし。……それにしても、部員が足りず、公式戦へ参加できないことが明らかになったわけだけど、ほんと、今後はどうするつもりなんだろ?

[ ロウきゅーぶ! ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
アスラクライン(14) The Lost Files /三雲岳斗

実質的には前巻で終了してた『アスラクライン』ですが、本巻は、短編を織り交ぜながらの後日談。前巻の終盤はシリーズラストにしては非常に物足りないものだったけれど、なるほど、この後日談のラストは、余韻を感じさせる綺麗なものになってます。今度こそ、これで終わりかー。

まあ、短編の方はコミカル中心のものが多く、可もなく不可もなしといったところ。その中で「子猫をめぐる冒険」はツンデレ玲子らしいエピソードで、なかなかGood。そして、後日談は、設定はあった気はするけれど、いきなり出てきた智春の妹・和葉を語り手とし、智春、操緒を想う周りの登場人物を上手く感じさせて、非常に優しく綺麗。というか、ラストが描き方がにくいよなぁ。これはシリーズのラストを〆るに相応しく、満足満足。

それにしても、この14巻は、リバーシブルカバーで旧デザインのカバーがついてくるのだけど、13巻でのデザイン変更は、そんなに不評だったのだろうか(^^;。……しかしそうすると、確実に浮いてしまう13巻のデザインの立場は(笑)。

[ アスラクライン ]


富士見書房 富士見ファンタジア文庫
SH@PPLE ―しゃっぷる―(8) /竹岡葉月

いよいよクライマックスっ!! ……と思いきや、ここで本編と関係ない短編集かっ!! 鳥子の少女小説は爆笑だったけれど、うーん、それ以外の短編は、正直、印象に残る話はなし。あと、カラー口絵の漫画の蜜が変で楽しいっ!!

[ SH@PPLE ]


メディアファクトリー MF文庫J
疾走れ、撃て! 4 /神野オキナ

幕間のような回とは言え、……凄くラブばかりです。いや、ラブはラブでおもしろいんだけど、やっぱり、この作品には、もうちょっとシリアスな戦闘を期待したいところなんだけどなぁ。

残り少ない夏休み。ふとしたことで、三人だけの夜を過ごすことになる理宇たちは……。という感じで今回は、戦闘らしい戦闘もなく、今まで以上に鈍感男を巡る哀しい女たちの恋模様が強調された回。あああ、加藤教官なんと不憫(^^;。そして、虎紅と妹・虎鈴の対比が愉快すぎる。……今後の激戦を予感させつつなストーリー展開は、次こそ期待のシリアス展開かしらん? や、次回予告が変なことになってるんだけど(笑)。

[ 疾走れ、撃て! ]


早川書房 ハヤカワ文庫JA
天冥の標II 救世群 /小川一水

ちょっ、1巻はすげー未来の話だったのに、2巻はいきなり現代なんですけどぉ〜〜。いや、繋がりはわかるんだけど、読み始めてビックリ。なんという構成だっ!!

南国パラオで発生した未知の伝染病。国立感染症研究所の児玉圭吾は、国際緊急援助隊の一員として、地獄と化した現地に赴く……。という感じで、非常にリアル指向のパンデミックシミュレーション。南国パラオを襲った致死率の高い感染症が、やがて世界各地でアウトブレイクしていくストーリーは、まさに圧巻。とにかく、良くも悪くも小川一水全開すぎる。や、ぐいぐい引っ張るストーリーはとてつもなく素晴らしいのだけど、ところどころリアルなシミュレーションよりストーリーの都合を優先する部分は、リアル指向としての出来がいいだけに、やっぱり違和感。あと、リアルなパンデミックシミュレーションをベースにしてるのに、1巻側のストーリーとの階梯と思しきSF的な伏線も、ちょっと違和感を覚えたり。

それにしても、非常に先が気になるラストの展開なのに、三巻予告。また、遠い未来に戻るのかぁっっっ!!

[ 天冥の標 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
とある魔術の禁書目録(20) /鎌池和馬

すげぇぇぇぇぇっっっ!! まさにクライマックス直前、なんという熱いバトルっ!! ……上条当麻、一方通行、浜面仕上。三者三様の熱い気持ちが、マジ素晴らしすぎるっ!!

ついに第三次世界大戦が勃発。主戦場となったロシアの地で、上条当麻、一方通行、浜面仕上の三人も、それぞれの戦いを繰り広げるっ!! という感じで、いよいよ、クライマックスだよね、だよね。いやぁ、絶対的に不利な状況で、不屈の想いだけで何度でも立ち上がる漢たちの戦いっ!! 熱い、熱すぎるっ!!

しかし、こうして、三人の物語を並行して進められると、ほんと、当麻の化け物じみた強さが凄すぎるよな。もはや、どんな強敵が出てきても、読んでて危機感を覚えない。それに引き換え、浜面の頼りなさといったら、もうっ!! や、浜面の行く末は、ホント、どうするつもりなんだ?

それにしても、ちょうどアニメも盛り上がっている『とある科学の超電磁砲』の美琴に慣れてしまってるせいか、20巻の美琴がすげー違和感ありまくり。そもそも、美琴の周りに、黒子とか佐天さんとかいないんだぜ……。

[ とある魔術の禁書目録 ]


ソフトバンククリエイティブ GA文庫
迷宮街クロニクル(4) 青空のもと 道は別れ /林亮介

シリーズ最終巻なので、もっと盛り上げるものかと思ったら、良くも悪くも最後まで淡々といつもの調子。特に、ゴンドラ攻防戦は、規模の割りには、盛り上がりに欠ける印象なのが、残念でした。せめて、もっと真壁周辺を描けばいいのに(^^;。や、ゴンドラ攻防戦のいろんな人の視点の中には、今まで以上にかなり違和感を覚えるものも多かったので、なおさらそういう風に思いました。……しかし、盛り上がりもなく進むので、このままどうするんだ?と思いながら読み進めてたのだけど、ラストはすごく綺麗に纏めてあって、これは満足。なんと幸福を感じる読後感。終わりよければ、全てよしっ!!

[ 迷宮街クロニクル ]


富士見書房 富士見ファンタジア文庫
スノウピー1 スノウピー、見つめる /山田有

おもしろいおもしろい。ツンデレ少女とクーデレ少女。そして、そんな二人と天然で妙にずれた語り口の主人公たちの会話がめちゃ楽しい。可香谷さんさいこーーーーっ!!

第1回ネクストファンタジア大賞<銀賞>受賞作。女の子との待ち合わせ場所に急ぐ“僕”は、何故か異世界に迷い込んでしまい、雪の精・スノウピーに出会う。と、そんなストーリーはともかく、会話がすごく楽しい作品。KEY系作品の影響を色濃く受けている印象ではあるものの、凄く個性的でセンスが変。笑える笑える。でも、私は好きだけど、好みは分かれそうだ(^^;。……そんな楽しい会話が全てという話ではあるのだけど、ストーリーの方は綺麗ではあるんだけど、典型的なお涙頂戴な話にもかかわらず、いまひとつ盛り上がりに欠けるのは残念かしらん。まあやっぱり、大きなストーリーは作らずに、会話を楽しむ日常系の作品を目指すべきだとは思うけど。

[ スノウピー ]


講談社 講談社ノベルス
幻獣坐 The Scarlet Sinner /三雲岳斗

なんと酷く嫌な話だ(褒め言葉)。本屋のPOPで、「三雲岳斗の作品の中で、いちばん酷い少年が、いちばん純真な少女をいいように利用する物語」みたいなこと(うろ覚え)が書かれていて、どんな話だ?と思って手に取ったのだけど、まさにそんな感じの内容でした。

両親を奪われた恨みのために、日本を牛耳る巨大企業・鷲王院グループへの復讐を密かに誓う高校生・久瀬冬弥は、自殺した友の死に打ちひしがれた少女・藤宮優々希と出会い、そして、彼女の秘密を知る……。という感じで、冷徹で優れた知能を持つ少年が、人知を超える力を手に入れ、悪の巨大企業と敵する内容なのだけど、やはり、三雲岳斗のコミカルな要素のないシリアス一辺倒な話は素晴らしい。明暗の対比が非常に上手く、幸福に包まれていた少女とその後の展開が、とにかく酷い読後感。ほんとうに酷い、とにかく酷い。この酷い読後感を何とかして欲しい気もするのだけど、どうすんのこれ? 一応、大きな物語の序章的な内容なのだけど、すでに描くべきは全て描かれてるよなぁ。

[ 幻獣坐 ]


一迅社 一迅社文庫
シオンの血族1 魔王ミコトと千の花嫁 /杉井光

ランス、というより、ダーク・シュナイダーか。や、好色の無敵ヒーローものなのだけど、シリアスとギャグのバランスがよく、おもしろいおもしろい。まあ、ちょっとテンプレすぎるので、途中で飽きてくるのが難点だけど。

帝都東京で皇統を守護する紫苑寺家の当主代行・紫苑寺有葉。その有葉の元に、かつて魔力の暴走を抑えるためにヴァチカンで封印されていた弟・紫苑寺ミコトが帰って来た。という感じで、キリスト教ネタをベースにした伝奇アクション。女の子に見境のない好色で無敵のミコトと、そんなミコトを好いていながら堅い性格で素直になれない有葉とのラブコメがメイン。お約束にエロエロでコミカルな演出と、それでいて重くシリアスな展開が下敷きになっているのがいいねぇ。イラストも素晴らしく、なるほど、あとがきにある通り、これはメディアミックス向きだわ。ちょっとテンプレすぎるので、このエロコメなノリだけだと1巻ですでに厳しいと思うのだけど、ラスト引きにとりあえず続きも期待かしらん。

[ シオンの血族 ]


小学館 ガガガ文庫
GJ部 /新木伸

『生徒会の一存』『ラノベ部』『はがない』と言った4コマ漫画のような日常系ラノベのヒットを受け、さらに徹底して4コマ漫画らしさを目指した作品。や、作者のその実験的な意欲は買うし、きちんと作者の目指すゆるふわな4コマ小説に仕上がってるとは思うのだけど、……ダメだ。根本的に間違ってると思う。

いや、ここまで4コマ漫画らしさを目指すなら、素直に、漫画にしろ漫画に(^^;。各話4ページ、36本のショート・ショートは、そう、きちんと4コマ漫画らしい感覚で読めることは読めるんだけど、4コマ漫画は、やっぱり絵のついている漫画だからこそあの短さでも十分に楽しめる情報が詰まっているのであって、小説として楽しむには、いろんなものが足りてない。各話最後に5コマ目としてイラストを挿入してるので、それでなんとか持ってはいるけど、メディアの特性を考えずに、4コマ漫画をそのまんまライトノベルにベタ移植しても、そりゃダメだろ。

しかし、かつてあの名作『星くず英雄伝』を生み出した新木伸が、ブームにのって人気作品の後追いかぁ。時の流れを感じるなぁ。

[ GJ部 ]


メディアファクトリー MF文庫J
僕は友達が少ない(3) /平坂読

最高傑作級っ!! とにかく楽しく笑える会話の中、着々と進む小鷹のハーレム化。魅力的なヒロインたちの中でも、肉可愛いよ肉。あとは、妹の小鳩も最高すぎるっ!!

夏休みに入った隣人部の面々は……。というわけで、着実に小鷹とのフラグを積み上げていく肉っ!! 肉っ!! いやぁ、不器用で恋に初々しい肉が、めちゃくちゃ可愛いすぎる。そんな、肉だけでなく、小鳩やマリアはじめ、魅力的なキャラクターと、その楽しい会話中心で進行する物語が、文句の付け所もなく非常に楽しい楽しい、楽しすぎるっ!! 「あんちゃん」好きだわぁ〜。……そして、ラスト。今まできちんと積み重ねていた伏線だけあって綺麗な展開なのだけど、ここでこう来るということは、わりと早くシリーズ纏めちゃうのかしらん?

[ 僕は友達が少ない ]


メディアファクトリー MF文庫J
図書館迷宮と断章の姫君 /おかざき登

ゴミ。一言でこの作品を表せば、おかざき登版のWizardry小説なのだけど、おかざき登の優しい作風と、死と隣り合わせの迷宮探索のシリアスな緊張感と、さらに、MF文庫Jらしい萌え重視な作りの、その組み合わせがもう最悪。とにかく、それぞれの魅力を殺しまくっている件。ここまで酷い組み合わせは、企画の時点で潰してしかるべきだと思うのだけど、編集者はなにをやってるんだ?

というわけで、おかざき登の新シリーズは、魔道書が人化して戦う迷宮探索モノ。えっと、デモンベイン? ……いや、シリアスな背景と戦闘と、萌え系の展開が、とことんおかざき登の作風とあってなくて、酷い酷い。設定もごちゃごちゃとして無駄が多く、すまん、全く良いところがない。

[ 図書館迷宮と断章の姫君 ]


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