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好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!! −2012年7月に読んだ本



アスキー・メディアワークス 電撃文庫
筋肉の神マッスル /佐藤ケイ

アホだ。佐藤ケイらしく、ほんとにアホだ。

おっぱい好きの阿久富雄は、おっぱいを守るため、デブでおっさんにしか見えない神様のしもべとなって戦う。と、『天国に涙はいらない』と同様に、佐藤ケイの知識をこれでもかと無駄遣いしたような、ほとんど一発ネタみたいな作品。狙い通りに、バカで気楽に楽しめる作品になってるけど、だからこそ、それだけで終わっちゃってるのが、もったいないなあ。贅沢かしらん(^^;。佐藤ケイだけあって、バカ小説として期待通りの水準に仕立てていて、その点では安心なのだけど、その代わり、ストーリーは、予想を違えぬ展開で、キャラもインパクトの割にはそう個性でもないので、やっぱり、物足りないのは否めないよなぁん。

[ 筋肉の神マッスル ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
天使の3P! /蒼山サグ

『ロウキューブ!』の蒼山サグの新作。今度は、小学生女子のバンドもの。『ロウきゅーぶ!』に続き、蒼山サグは、ゆがみなく小学生好きだな(^^;。

ひきこもりで、ニコ動に自作の曲をアップして日々過ごしてる響は、ある日、ファンメールに釣られてのこのこ出かけたら、そこで待っていたのは小学生の女の子だった……。バスケがバンドになっただけで、『ロウきゅーぶ!』とやってることは一緒。いや、スポ根的な要素はないけど。ある意味、よりロリコン的になったと言える。音楽ラノベとしては、……えっと、音楽描写をはじめから捨ててるのは、ある意味清々しいのだけど、う〜ん、それ、音楽をネタにする意味があるのか(^^;。いや、このネタでバンドシーンがまともに描けないのは、ちょっと致命的かしらん。いや、お風呂とか、ロリ方面は素晴らしいだけに、ちと残念だ。

[ 天使の3P! ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
魔法少女育成計画 /遠藤浅蜊

魔法少女でバトルロワイアルって、なんという悪趣味っ!! いや、『魔法少女まどか☆マギカ』を経て、来るべくして出てきたような作品なのだけど、ゲスいというか、溢れ出る悪意が素晴らしすぎるっ!!

N市で活躍する魔法少女は16名。ある日、マスコットのファヴから、魔法少女の人数を半減しなければならないと聞かされ……。というわけで、人の役に立つために活躍していた魔法少女たちに、悪意やエゴを剥き出しにさせ、やがて互いに殺し合いをはじめるように仕向けられるという話。『まどマギ』のキュウべえに着想を得た作品だと思うんだけど、キュウべえはそもそも倫理観が人間と異なる、という感じだったのに対し、こちらのファヴは、倫理観が壊れて明確な悪意を持っているというのが特徴。魔法少女たちを殺し合いさせるように導くさまは、ほんとえげつないっ!!

ラストもカタルシスや救いがあるわけでもなく、ほんと酷い。だからこそ、素晴らしい。まあ、もうちょっと純真無垢で正義感あふれる女の子たちが堕ちていく様に焦点を当ててくれていれば、なお良かったんだけど、魔法少女といいつつ、わりとはじめから利己的で、魔法少女のステレオタイプから外れる子が多かったのは、物語を動かす上で、仕方なかったのかしらん。……まあ、それはともかく、騙し出し抜く心理戦を交えた魔法少女たちのバトルと救われない展開が、最後まで手に汗握り夢中に読ませる内容で、ほんと面白い作品でした。

[ 魔法少女育成計画 ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
しずまれ! 俺の左腕 /おかもと(仮)

魔王が左腕に宿ってしまい、その左腕の魔王をしずめようと闘う篠中紳士。だが、他人からは邪気眼のレッテルを貼られ……。いやもうタイトル通り、一発ギャグのようなコメディ。くだらなくておバカなノリが、笑える笑える。

ベースはギャグなだけあって、リア充という設定の紳士も、魔王含め、紳士の周りの人間も、何だがいろいろオカシイ。ニート的な趣味の魔王はともかく、幼なじみヒロインの巻名はなにものだ?(笑)。いや、巻名は、もうちょっとベタに幼なじみしても良かったというか、ギャグ要員化してしまっているのは、むしろ残念か。後半、多少恋愛色が強くなってるだけに(^^;。……まあ、そもそも、最後まで一発ギャグ的なノリで突っ走ってくれれば良かったのだけど、さすがにそれだけでは持たずに、恋愛絡めなきゃいけなくなってしまったのが、残念といえば残念だったり。

[ しずまれ! 俺の左腕 ]


集英社 スーパーダッシュ文庫
ベン・トー9 おかずたっぷり! 具だくさん! 香り豊かな欧風カレー弁当すぺしゃる305円 /アサウラ

ぐはっ、ロリ、やべぇ。茉莉花、やべぇ。マジにそれはやりすぎだろぉぉぉ〜〜〜っ!!

そゆわけで、『ベン・トー』最新9巻は、冬の合宿編。昨年の冬合宿を最後に HP部が崩壊したという曰くつきの合宿で、いよいよHP部崩壊の謎もなんとなくわかってきたわけだけど、それはともかく、茉莉花の破壊力が半端ないな。ロリすげぇ……。《ギリー・ドゥー》こと中学生で眼鏡っ娘・禊萩真希乃といい、年下さいこー。いや、私の『ベン・トー』で一押しは、著莪なんだけど(^^;。……それにしても、佐藤の生存能力は、ほんと凄い。そして、佐藤の正月の家族での思い出話がさいこーなんですが。ネネちゃん(爆笑)。

HP部崩壊の真相も、いや、これだけ変な話なのに、《ウルヴァー》秋鹿といい、気持ちのいい奴らのせつない話になりそうで、ほんと素晴らしいなぁ。

[ ベン・トー ]


メディアファクトリー MF文庫J
僕は友達が少ない(8) /平坂読

おぉぉぉ〜〜、なんという転機っ!! 凄い展開すぎるっっっ!! 『はがない』って、単なる日常系の物語かと思ってたんですけど、前巻辺りから、なんだか心揺さぶられる青春ストーリーになってるんですけどっ。そして、小鷹のへたれが、酷い、あまりに酷いっ!!

体育祭、文化祭を経て、隣人部の今を守りたいと強く思うようになる小鷹。しかし、ある一言をきっかけに、隣人部に大きな転機が訪れる……。という感じで、いやぁ、マジにまさかの展開。ここまで正面からストーリーを動かしてくるとは、まったくの予想外でした。ほんと、マジにいいです、すばらです。それを受けての小鷹の行動が、あまりにヘタレすぎて情けないのだけど、だからこそ、等身大の高校生らしく、いかにも小鷹らしい情けなさで、青春ストーリーとして、これはいいっ!! そして、それに対する理科の対応が、これまた良いんだ。前巻の引きといい、もう、惚れてしまうほどかっこいい。しかし、いつの間に、なんでこんなに素敵な話になってるんだよ。ほんと、このまま終幕に向かうのか、まだまだ、二転三転するのか、続きがすんごく楽しみですっ!!

[ 僕は友達が少ない ]


角川書店 スニーカー文庫
問題児たちが異世界から来るそうですよ? 降臨、蒼海の覇者 /竜ノ湖太郎

完全無双状態だった十六夜に、やっと同レベルの相手が。それでも、相変わらずの弱さを感じさせない豪快な戦いが胸あつ。それにしても、『ドラゴンボール』以降に、西遊記系のキャラを出してくるのは勇気あるなぁ〜〜。

“ノーネーム”の六桁昇格のため、ジンたちは、連盟旗を作るために動き出す。という感じで、えっと、水着回?(^^;。いつも通りにギフトゲームでバトル中心の話だけど、対魔王戦という意味では一回休み。飛鳥パワーアップ回かと思ったら、お色気担当でした(笑)。や、耀も十分強くなってるので、飛鳥の力不足がちと目立つんだよなぁ。たぶん、次回は、“マクスウェルの魔王”との対決なんだろうけど、強い強いいってるわりに、いまいち雑魚臭漂う気がするのは、気のせいですか(^^;。

[ 問題児たちが異世界から来るそうですよ? ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
ソードアート・オンライン10 アリシゼーション・ランニング /川原礫

アクセルワールドぉぉぉぉっっっ!! うわぁ、ガチに、[文庫]『アクセル・ワールド』にリンクさせてきたっ!! ……や、このアリシゼーション編、キリトの活躍どうこうというよりも、むしろ、ブレイン・バースト誕生秘話みたいになりつつあるのだけど、どういうことよ?

リアル世界で、死銃事件の逃亡犯《ジョニー・ブラック》に襲撃されたキリトは、何故かログアウトできないVRMMO世界で目を覚まし……。という感じではじまったアリシゼーション編二冊目。アリシゼーション編のアンダーワールドは、バトル要素が少ない平和なゲーム内の世界観と、アスナはじめ、いままでのヒロインたちも絡みようがない設定で、正直、盛り上がりに欠ける展開になるかと思ったのだけど、うわぁ、そうきたかっ!! 『アクセル・ワールド』に繋がりそうな世界の謎に超期待っ!! ……しかし、武器制限で五連続技以上使えないって、キリトにとってはかなりのハンデだと思うのだけど、それでも、きちんと強いキリトは凄いな。ラストでは、どこまで制限はずしてくんだろ(^^;。

[ ソードアート・オンライン ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
魔法科高校の劣等生(6) 横浜騒乱編<上> /佐島勤

相変わらず面白いんだけど、やっぱり、設定の粗さと強さのバランスが気になって仕方ない。今回、対人近接戦闘において世界で十指に入る大亜連合軍特殊工作部隊のエースが登場するんだけど、それだけの肩書きを持ちながら、達也に比べて雑魚にしか見えない件。まあ、達也は別格だから置くとしても、達也の周りも普通に対応してるしな。なんというか、達也抜きでも高校一つで敵国軍隊に力押しで勝てそうな風に思えるのだけど、そのパワーバランスは、どうにもなー。

そんなわけで今回は、九校戦に並ぶ魔法科高校のイベント「論文コンペ」。その「論文コンペ」にあわせるかのように、大亜連合軍の特殊工作員たちが暗躍をはじめる、という感じで、さすがに、達也がコンペに絡んだ時点で優勝確定なので、日本と敵対する大亜連合の工作員を出してきたわけだけど、うーん、こいつらが予想外に弱くて、達也が苦戦する姿が想像つかない。もう、達也と勝負できそうなのは、四葉の当主ぐらいしかいなさそうなので、敵を出すなら、さっさと四葉の当主を持ってくればいいと思う。あとは、ひたすら妹とのイチャラブと、おっぱい鷲づかみするようなラッキースケベ中心に話を進めればいいのに。ていうか、幹比古めぇ〜。羨ましいというか、どういう展開だっ!!

[ 魔法科高校の劣等生 ]


ソフトバンククリエイティブ GA文庫
織田信奈の野望9 /春日みかげ

毛利軍との対戦を控え、絶体絶命、四面楚歌の状況で迎えた今巻。表紙を捲ったとたん、裸の山中鹿之助で、これはいったい(^^;。や、今回も、史実を踏まえつつ、感動的な話に仕立ててくるのは、やぱし巧いな。前鬼といい松永久秀といい泣ける(T-T)。そして、ちょっとご都合主義だけれども、以心伝心な家臣団が、ほんと感動的すぎる〜。さらに、丹羽長秀がいい役どころすぎて、いいなぁ。

正直、前巻の絶望的な状況を思うと、わりとあっさりと解決してしまい、そこら辺はちょっともったいというか、拍子抜けという気も。ただ、それだけに、ホント感動的で、このままエンディングになだれ込んでもよさそうな展開だったけれど、まだ続くのか。村上水軍登場で、やっぱりそういう方向に進むのんね。あとは、まだ出てきてない上杉謙信が登場してくる流れ?

[ 織田信奈の野望 ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
クロス・エデン1 魔法王国ミシュリーヌ編(前) /吉野匠

ロリ担当のお隣りの小学生、月渚ちゃんは、いったいどう絡むんだ?<をい。ありがちなオンラインゲームものかと思ったのだけど、予想以上に面白く、掴みはO.K.。とにかく謎をばら撒きまくってるので、どう収束させていくのかが、いまからすごく楽しみですっ!!

家に帰ると、ゲーム世界の住人のはずのセシル王女が……、という感じで始まる VRMMOモノ。VRMMOモノというと、ゲーム世界と現実世界の境界があいまいになるのがお約束なわけだけど、この作品はゲーム世界に入り込むのではなく、ゲーム世界のNPCが現実世界に出てくるという内容。まあ、ある意味、王道的なファンタジーという感じかしらん。まずは序章というところだけど、謎を散りばめて、上手く読者の興味を引かせる展開が、ぐいぐいと読ませる読ませる。いやぁ、まずはおもしろくて一気に読みきってしまったけれど、ただ、いかにも続き次第だよなぁん。下手すると面白かったのははじめだけ、みたいなことになりそう(^^;。二ヶ月連続刊行ということなので、続きは来月か。楽しみすぎるっ!

[ クロス・エデン ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
創世の大工衆 刻を紡ぐ幻の音色 /藍上ゆう

ぶっ飛んだエロコメでデビューした藍上ゆうが、真っ当なファンタジーを出してくるだと……。そゆわけで、『ドS魔女の×××』でデビューした藍上ゆうの新作は、ファンタジー世界を舞台にした大工の話。いや、石造りなので、ほんとうは、大工ではなく石工だと思うんですが(^^;。

奴隷工・カナトの住む街に、伝説の大工衆の技を受け継ぐ少女・シアが現れ、やがて女王の命により、二人である建物を建設することに……。という感じで、ファンタジー世界を舞台に、本来は脇役的な存在である大工を主人公にして、過去に残された設計図に纏わる謎を中心に、剣でも魔法でもなく機転を利かせて解決していく話。ツンデレなシアをはじめ、キャラも生き生きしていて、きちんと面白いのだけど、ただ、ファンタジー世界としては、ちょっと作り込みは甘い感じ。一応、続けること前提のラストだけど、トゥルーエンドまでは遠そうな上に一冊でわりと綺麗に纏まってるしで、続けるのは難しそうに見えるのだけど、続きはどうするんだろ?

[ 創世の大工衆 ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
暴走少女と妄想少年7 恋する暴走少女 /木野裕喜

うわ〜、すんげぇ恥ずかしい。なにこのピュアで直球な恋愛描写。いまの時代、下手するとギャグになっちゃうと思うんだけど、それを真っ当にシリアスにやってきちんと成立するんだから凄いよな。素晴らしい。……それにしても、善一、武瑠、杏子の三角関係に、きちんと決着付けるとは思わなかったので、ちとビックリした。<をい

小学生のような、おままごとのような恋愛感が特徴な作品だったけれど、ラストも恥ずかしくなるぐらいピュアで綺麗でした。展開としては、物凄くオーソドックスなんだけど、それを、ここまで直球に描くとは、今の時代では、むしろ凄いよな。まあ、年齢設定は、高校生でなく、せめて中学生にしとけよ、と思わないわけではないけど、いや、高校生だからこそ、素晴らしいのか。ここ数巻は、いい意味で化けた作品だと思うのだけど、この最終巻も綺麗な恋愛モノとしてまとまっていて、ほんと、素晴らしかったです。……結局、“妄想”はどこかにいってしまったけれど、暴走少女こと武瑠の小学生然とした行動様式が、作者の恋愛感ともマッチして、いまどき稀有な恋愛ストーリーに仕上がったんだと思う。このセンスを上手く伸ばしたら、凄い作品が出てくると思うんだけど、次回作はどうするんだろ。

[ 暴走少女と妄想少年 ]


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