1.1頁6行目:
この“身を潜める住民達”は...の部分は、形動詞としてとらえているように思えます。原文では、「;bntkm-
pf,bdibcm ==== 」となって、副動詞ですので一般的に、“;bntkb”が主語となります。従って、「人々(住民)は穴蔵や地下室に潜み、やつれはてながらじっと待機していた。」としたほうが更によいと思います。(副動詞に関し、更に詳しい参考資料を同封します)
2.1頁7行目:
「生きるも死ぬも、扉が銃床により叩かれた瞬間に、決定された。」としたほうがよいと思います。“ghbrkfl”は“銃床”のことです。これは敵味方入り乱れた戦場を想定してはいかかですか。敵方の兵士の銃床で扉が叩かれると、即ち死を意味し、味方の兵士の銃床で扉が叩かれた場合、助かるという意味ではないでしょうか。しかし、身を潜め隠れているわけですから、どちらが入ってくるか全く分からない状態でしょう。まさに“同じ確率”なのではないでしょうか。
3.1頁15行目
これは“壁床”ではなく、帆布製の“ハンモック”の意味です。
例:Z jxenbkcz yf gfhecbyjdjq rjqrt- gjldzpfyyjq vt;le cnjqrfvb cbltybq dfujyf nhtnmtuj rkfccf ====== "nj ,sk cfybnfhysq gjtpl=
(気が付くと私は、三等車の座席支柱の間に縛り付けられた帆布製のハンモックの上にいた.... それは傷病者輸送列車であった。)
<ロシア語辞典/第二巻69頁:ロシア科学アカデミ-ロシア語研究所、ロシア語出版社、1982>
4.1頁25行目
“r ,j.”ですから、“r xtve_k”に対応する動詞が前にあるはずです。“射程の位置に”ですと、“ecnfyjdbnm lfkmyjcnm cnhtkm,s”とか、或いは“敵陣に照準を合わせる”との意味で、“yfdtcnb jhelbt yf dhfuf”となり、“r ,j.”の表現がでてきません。これは、“ujnjdmcz r ,j.”で、ただ“ujnjdmcz”が省略されていると考えられます。
“第一火砲発射準備!、第二火砲発射準備!”との意味でしょう。
5.2頁14行目
“njkmrj nfv- c ktdjq cnjhjys- ult ghjikf gekz- dblty xthysq cktl =====”
これは、弾丸が貫通した左側に黒い跡が見える、という意味です。若干錯覚されるかもしれませんが、“左側から見えてくる”と解釈します。即ち“左側に見える”との意味です。
6.2頁22行目
“Yj dtlm z db;e nt,z”の部分ですが、“dbltnm”の語意に問題があります。ここは、目で何かが見えるの意味です。確かに“合う、出会う”(dblytnmcz- dcnhtxfnm)の意味はありますが、ここはコンテキストにより、“見える”と解釈するほうが妥当に思われます。
参考:「本当に父さんの姿が見えるよ! どうして父さんの姿が見えるんだ? 僕には父さんに思えるけど、そう?」
7.2頁25行目
“tve xnj_yb,elm xelbncz= :tyobyfv xelzncz ytghbznyjcnb- ve;xbyfv ! elfxb=”
問題は“xelbnmcz”の解釈です。研究社のロシア語辞典では、「..のような気がする、...のように思える (rfpfnmcz)」となり、露和辞典 (ロシア語出版社、ザル-ビン)では「錯覚する、錯覚を起こす、幻覚を見る、...ような気がする」となり、ロシア語辞典(ロシア語出版社、科学アカデミ-)では、「представляться в мыслях, воображении;казаться- vthtobnmcz」となっています。さらに、標準語現代ロシア語辞典 (科学アカデミ-出版所、科学アカデミ-言語学研究所)では、「1.dbltnmcz- djpybrfnm d djj,hf;tybb 2.vthtobnmcz- rfpfnmcz- ghtlcnfdkznmcz」 (第17巻1166頁)となっています。
この中で上記の“1”が最も意味が近いと思われます。即ち、“想像・空想の中で思い浮かべたり、発生する”ことなのでしょう。従って、下記のように訳します:
「常に何かを想像しているものだ。女は不快な結果が頭に浮かび、男は成功が頭に浮かぶものだ。」
注:これは女性とは一般に心配性の性質があり、男性のほうは逆にうぬぼれからくる楽天主義みたいもの があることを言っているのではないでしょうか。
8.3頁3行目
ここは、「それで、父さん、その意味分かったの」としたほうが適切でしょう。“gjyznm”の意味には、“承知する”とした意味はないようです。ちなみに、標準語現代ロシア語辞典
(科学アカデミ-出版所、科学アカデミ-言語学研究所)では、「1.gjcnbufnm-
jcjpyfdfnm cvsck- ceiyjcnm- pyfxtybt b n=g= xtuj_kb,j (なんらかの意味・本質・意義等を見抜、認識すること)となり、その他の語意でも“承知”の意味はでてきません。
“edthznm”の意味は、ここでは“断言する”としたほうが適切でしょう。“はっきりいっているのさ”では、少しニュアンスが異なるかと思います。(詳細、辞書参照)
10.3頁12行目
ここは、“靴屋”としたほうが適切。
11.3頁下から5行目
ここは少し意味が違うようです。“gjkjdbyf”は、“連れ添い、相棒、片割れ、分身等”の意味です。標準語現代ロシア語辞典 (科学アカデミ-出版所、科学アカデミ-言語学研究所)では、「Моя,твоя,его,своя и т.п.половина;дражайщая половина:об одном из спругов,чаще о жене;
! tckb ns vyt yfgbitim- nj vjz gjkjdbyf
gjkexbn ,tp vtyz b yfdthyjt hfcgtxfnftn=」
(第10巻1034頁)と説明しています。
12.4頁6行目
ここは、「みんな、私のことマーシャと呼ぶけど、しかし世間の誰も、どんな人も、うち のナウムが“おーマーシャ”とじょうずに呟くようには“マ-シャ”のことを言えないの。」とでも訳すのでしょう。
13.4頁下から9行目
ここは、“沼の向こうで”ではなく、“沼の向こうに”です。
「僕らはファシストをチュカーリン湖の向こうに撃退し、八日目の夕方近くトウリチンに入ったんだ!」 とでもするのでしょう。
14.4頁下から3行目
“djn ds b yf hjlbyt”の部分の訳ですが、“djn
b”には、“結果や期待の実現”の意味があるようです
(研究社露和辞典/259頁参照)。次のように訳したらどうでしょうか。
「上級中尉殿、やっと貴方の故郷に帰れましたね」
15.5頁7行目
ここは、軍隊ですので、“仲間”より、“部下”とするほうが適切ではないでしょうか。一般に“ht,znf”は、“vjkjlst
k.lb- gfhyb”の意味ですから、軍隊における“若者、青年”ですから、“部下”としたほうがよろしいかもしれません。
16.5頁7行目
ここでの“手柄”の意味ですが、この意味の他に“ghjltkrb-
ytktgst- yt,kfujdblyst gjcnegrb”の意味もあります。フィリモフはドイツ軍に協力して、ユダヤ人虐待に手をかした人間と思われます。従って、“手柄”とするより、“悪行”等の表現のほうが妥当ではないでしょうか。
17.5頁下から13行目
ここで問題としたいのは、先ず“あなたのそば”と訳している部分です。原文では、“c
dfvb”ですから、“あなたがたと一緒に”でしょうし、又“伏せていた”と訳していますが、“ghjkt;fnm”の意味には、“yf[jlbnmcz-
jcnfdfnmcz ult_kb,j d ntxtybt rfrjuj_kb,j dhtvtyb (ある時間の間、どこかに存在したり、置き去りにされること)
(標準語現代ロシア語辞典/第11巻1176頁:(科学アカデミ-出版所、科学アカデミ-言語学研究所)及び“ghj,snm
rfrjt_kb,j dhtvz ,tp ghbvtytybz- ,tp egjnht,ktybz- ,tp dybvfybz:何も利用せず、何も使わず、注意を払われずにある時間過ごすこと)
(ロシア語辞典/第3巻498頁:(ロシア語出版社、科学アカデミ-)との意味もあります。従って、下記のように訳したらどうでしょう:
「二昼夜彼女は濠のなかに父さん達と共に放置され、....」
18.5頁下から10行目
ここで、“B djn”を“そうして”と訳していますが、ここでは“そのうちに、そうしたところへ、そしてとうとう”(研究社露和辞典259頁)と訳したほうが適切ではないでしょうか。
19.5頁下から3行目
ここは、“gj dtxthfv”で複数与格ですので、反復行為を表現しています。“毎晩”とか“夜毎に”と訳すべきでしょう。単数与格で“gj
dtxthe”であれば、“夜になったら”でもよいのでしょうけど。
20.6頁1行目
“Rjynepbz”の語意ですが、“Dbl
eib,f- cjnhzctybz- nhfdvf ,tp dblbvs[ gjdht;_ ltybq ntkf- yfgh=
ghb hfphsdf cyfhzljd- dphsdf[ ujh.xb[ b [bvbxtcrb[ dtotcnd- pfdfkf[
ptvktq b n=g=:砲弾等の炸裂、燃料・化学物質の爆発、落盤等により、外傷のない打撲、震盪、創傷)
(標準語現代ロシア語辞典/第5巻1345頁:(科学アカデミ-出版所、科学アカデミ-言語学研究所)と解説しています。ここで注目すべきは、“砲弾等の炸裂”の箇所です。状況から判断しますと、“砲弾の爆風によるけが”だと思います。従って次のように訳してはどうでしょうか。
「僕は爆風をうけけがをしたんだ」
21.6頁13行目
これは、“ヴィエニアフスキ-”(Wieniawski)(ポ-ランドのバイオリン奏者)です。