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★" Star Watching   −How to−

 




きっと、星を見るスタイルにも色々あるだろう。 人によって嗜好が異なるし、夜空を飾る天体にも様々なものが有るからだ。 ただ、見る場所によっては、嗜好とは関係なく、おのずと楽しめる天体が限られてしまう。

月や惑星は比較的明るいので、都市の人工光で明るくなってしまった夜空 (右写真) でも楽しめる。 一方、天の川や星雲は、ちょっとした街明かりでさえ、すぐにかき消されて見えなくなってしまう位に暗くて淡い。 私が昔住んでいた街も、自宅から天の川を見るなんて事は、もはや叶わぬ夢になってしまった(※その後、天の川が見える場所へ引っ越しました)。 街中で見る星雲は、たとえ大きな口径の望遠鏡を使ったとしても、その姿は弱々しい。 これらの天体を楽しむには、都市部から離れ、人工光が届かない暗い夜空の下へと出掛ける (遠征する) しかなくなってしまった。 都市部でも楽しめるかどうかで天体を分類すると、以下の様になるだろうか。
  1. 都市部の人工光で明るくなってしまった夜空でも楽しめる天体
    • 惑星 (水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星)
    • 二重星

  2. 都市部から離れ人工光が届かない暗い夜空の方が楽しめる天体
    • 星座・星座を形作っている星々
    • 天の川
    • 星雲・星団
    • 流星
    • 彗星
私の場合、暗い空の下へ出掛けて行って見る満天の星空に不思議な魅力を感じるので、遠征をして上記 2 の天体を見て楽しむ事の方が多い。 なお、双眼鏡や望遠鏡を使っても、星雲は天体写真の様にカラフルには見えない。 星々は赤や青などに色付いて見えるし、明るい彗星はエメラルド・グリーンの色に見えたりするけど、星雲は灰色 (人によっては薄青緑色) にしか見えない。 しかしそれでも、淡くベール状に広がった星雲の姿は生の光で見る方が美しいと私は思う。


いつ見るのか?

  • 天候
    もちろん晴れていないと星は見えないので、天気予報のお世話になる。 ただ、気のせいか夜の予報は外れる事が多いので (どちらかと言うと曇りの予報で晴れてしまう事が多い)、気象衛星の画像から雲の動きを見て、晴れそうだと思ったら遠征してしまっている。 気象衛星の赤外線画像では、雨雲以外の雲は非常に薄い白で表示されていて見落しやすいので注意が必要。

  • 月齢・薄明 (暗夜)
    月が出ていると空が明るくなってしまうので、暗い空を求めはるばる遠征する意味が無くなってしまう。 また、日没後と日出前の1時間30分程 (冬の頃で約1時間20分程、夏の頃で1時間50分程) は薄明と呼ばれ、空が薄明るい。 薄明終了から翌朝の薄明開始までの間で、月が沈んでいる時間帯を暗夜と呼ぶ。 暗夜が、天の川や星雲などの淡くて暗い天体を観望するのに適した時間帯。 毎日の月出・月没・薄明終了・薄明開始の時刻は、天文年鑑等の書籍、プラネタリウム・ソフト、アストロアーツ のウェブサイトなどで調べることができる。

  • 透明度
    晴れと言っても、春霞のかかった空から、秋の抜ける様な空まで、晴れは晴れだ。 昼間、青空が濃い時は透明度が良いので、そのまま夜になれば、星も一層良く見える。 天の川がはっきり見える様な観望地では、透明度が悪いからと言って天の川が全く見えなくなってしまう様な事はまず無いが、透明度の良し悪しで見え方が大きく変わる。 透明度は気象衛星の水蒸気画像 (右写真) が参考になる。 水蒸気画像の青の濃い部分は水蒸気が少ないので、その分、透明度が良い。 ただし、衛星画像で水蒸気が少なくても、地表付近が靄っていると透明度は悪くなるし、その逆の場合もあるので、衛星画像の通りと言う訳でもない。 また、空気中の塵や埃によっても透明度が悪くなる。 塵や埃は雨で落とされるので、雨上がりは一般的に透明度が良い。 台風一過は特別に透明度が良い事が多い。


  • 夏の夜や雨上がり等は霧が良く発生する。 湖や川などの近くや、草木の多い場所、窪地や平地で良く発生する。 風がある程度吹いていた方が発生しない。 霧は微風でも移動するので、しばらく待つと晴れる事が多い。 また、局所的に発生している事も多いので、少し場所を移動するだけで霧から逃げられる事が多い。 霧の中では機材や服がびしょ濡れになる。 少しの霧だと気づかない事もあるので注意が必要。 ライトを着ければ、光の線が見えるかどうかで霧の有無が分かるし、光線の中を浮遊している水滴の動きで霧の流れている方向も分かる。

どこで見るのか?

  • 世界の夜空 (光害)
    Credit: P. Cinzano, F. Falchi (University of Padova), C. D. Elvidge (NOAA National Geophysical Data Center, Boulder).
    Copyright Royal Astronomical Society. Reproduced from the Monthly Notices of the RAS by permission of Blackwell Science.

    http://www.lightpollution.it/dmsp/

    まずは、 The night sky in the World のウェブサイトの The World Atlas of sea level artificial night sky brightness の世界地図を見て欲しい。 人工衛星の写真から得られた都市部の明るさを元に、地形等を考慮して人工光の拡散具合を計算し、海抜0m換算での夜空の明るさをプロットしたものと言うことだ。 黒→灰→青→緑→黄→橙→赤→白となるに従い、人工光で夜空が明るくなってしまっている事を示している。 この図を見ると、日本は世界の中でも特に夜空が明るい事が分かる。 星を見るのに、日本は最悪の環境にあると言える。

  • 日本の夜空 (光害)
    しかし、まだ諦めるのは早い。 East Asiaの詳細図 (右画像) を見ると、日本にも青や緑の領域が所々残されている。 関東の場合なら、東京都心を中心に半径60km域が赤〜白の最悪の状況にあるが、100kmも離れると緑の領域が存在する。 茨城県北部や栃木県北西部などである。 100kmと聞くと大層な距離に思えるかも知れないが、週末に観光地に出掛ける事を考えると、同じ様な距離なのではないだろうか? 緑の領域なら星を楽しむのに十分な空の暗さで、天の川も裸眼ではっきり見ることができる。 青の領域であれば、日本で最高の星空を堪能できる事になる。

  • 標高・雲海
    図は海抜0m換算での夜空の明るさを示しているので、山の上など標高が高い場所では、図から予想されるよりも条件が良くなる。 しかも、標高が高い場所では、地表付近の靄の影響を受けなくなり透明度が上がるので有利だ。 また、標高が高い場所では、時として雲海の上に出ることがある。 運良く雲海の上に出ると、雲海が地上の人工光をブロックしてくれるので、素晴らしい星空に巡り会う事ができる。 富士山新五合目が有名で、普段は関東都市部の人工光に埋もれてしまっているが、下に雲海が広がった時の星空は素晴らしいらしい。 富士山ほど標高が高くない場所でも、地表に濃い霧が発生すると同様の効果が期待できる。

  • 深夜過ぎ
    大都市は眠らないと言われるが、それでも夜11時を過ぎる頃から多少は灯が消えるので、深夜過ぎの方が空が暗くなる。 大都市から遠く離れた場所でも、大都市の影響を大きく受けているので深夜過ぎの方が多少条件は良い。 また、大都市部は最悪の状況と述べたが、透明度の良い日の深夜過ぎは、天の川が見える事は無いにしても、意外と星が良く見える事がある。

何を見るのか?

  • 星座・天の川・流星・彗星
    暗い空の下に行きさえすれば、星を見て楽しむのは別に難しいことではない。 星空を見上げるだけだ。 星がたくさん見えるので、知っているはずの星座の形が、かえって判らなくなってしまう。 見えすぎるぐらい星が見えるのだ。 天の川もはっきりと見えるし、しばらく星空を見上げていれば、大抵は幾つかの流星が流れるのを見る事ができる。 ただし、4月から6月の春の頃は天の川は沈んでいて見えないので注意 (夜9時頃の場合) 。 夏の天の川の方が冬の天の川より濃いので、天頂付近を流れる天の川をしっかりと見たいなら夏がお奨めだ。 天の川の位置は星座早見盤、プラネタリウム・ソフト、天文年鑑等の書籍、 アストロアーツ のウェブサイトの 星空ガイド などで調べることができる。 流星群 (ペルセウス座流星群・しし座流星群など、ある特定の時期は流星が多くなる) や、明るい彗星などの天文現象も同ウェブサイト等で調べられる。

  • 星雲・星団 (小型双眼鏡で)
    アンドロメダ大星雲、オリオン大星雲、昴 (プレヤデス星団) などの大型の星雲や星団は裸眼でも存在を確認できるが、 双眼鏡 があった方が楽しめる。 双眼鏡で天の川を流すと、ところどころにボヤっとした小さな雲の様な天体 (多くは散開星団と呼ばれる星の集まり) を見つけることもできる。 これら星雲・星団の位置を知るには 星図・ガイドブック などが必要になる。 ただし、小型双眼鏡だけしか使わないのであれば、もう少し簡単なガイドブックの方が良いかも知れない。 小さ目の星雲・星団を探す事に慣れてくると、小型双眼鏡でも意外と沢山の星雲・星団が見える事に気づく。 メシエ天体 は、非常に小さな惑星状星雲を除いて、ほとんどが小型双眼鏡で存在が分かる。 しかし、やはり小型双眼鏡の魅力は、天の川を流したりして星空を景色として楽しむことにあると思う。

  • 星雲・星団 (大型双眼鏡や望遠鏡で)
    個々の星雲・星団をじっくり鑑賞するには、大きめの双眼鏡や望遠鏡が欲しくなる。 個人的には両眼で快適な星空散歩が楽しめる大型双眼鏡が気に入っている。 20倍もあればメシエ天体やNGC天体など数多くの星雲・星団を楽しめるし、20倍程度の低倍率で当て所なく天の川を流して散策する様な楽しみ方もできる。 また、双眼鏡は持ち運ぶのが苦にならないので、気が向いたとき何時でも気軽に星見に出掛けることができるのも魅力的だ。 7cm〜8cmクラスの双眼鏡であれば、16X70, 18X70, 16X80, 20X80 などが数万円で販売されている (三脚は別途必要)。 双眼鏡や望遠鏡には粗悪品も多く存在するので、購入の際には リンク のページに列挙した様な専門店とよく相談した方が良いと思う。

どうやって見るのか?

  • 自然が一杯残っている場所へ遠征しての星見は、キャンプや釣りなどと同様にアウトドア趣味の一つだと思う。 防寒具や懐中電灯などはもちろんだが、テーブル、椅子、ちょっとした調理器具などなど、アウトドア用の道具 ( ギア ) があると快適に星空を楽しめる。


http://www2e.biglobe.ne.jp/~isizaka/nstar/
by Satoshi ISHIZAKA